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I analyze export-import data, connecting it to trade policy, life

ドナルド・トランプ大統領(Photo by Mark Wilson/Getty Images)

米国勢調査局の最新のデータによると、米国の貿易赤字は今年、12年ぶりに過去最高を記録することがほぼ確実な見通しだ。ドナルド・トランプ大統領の任期中に記録が更新されることになるのは、皮肉だと言えなくもない。

トランプは大統領候補だったころから一貫して、中国をはじめとする各国がどれほど米国を利用し、それが米国にどれほど多額の貿易赤字をもたらしているかを声高に訴え、文句を言ってきた。だが、正直なところこの問題について、トランプにコントロールできる部分はほとんどない。

貿易赤字には、少なくとも次の3つの要因が影響を及ぼしている。

1. 中国との貿易戦争:限定的ではあるものの、貿易戦争の影響は出ている。そして、当然ながらこれについては、一部にトランプの力が及んでいる。
米国産原油の対中輸出額は今年6月、過去最高となる約10億ドル(約1137億円)に達した。だが、その後は2カ月連続でゼロとなっている。また、8月には大豆、9月には自動車の輸出が大幅に減少した。

一方で米国の携帯電話、衣料品、家具その他の製品の輸入は、大幅な減少をみせていない。今年9月までの対中輸出が2.58%の増加となったのに対し、輸入は7.9%増加している。

2. 原油価格:価格の変動はあるものの、原油価格は全体的に、再び値上がりしている。これについてトランプは、少なくとも直接的には全く無関係だ。

原油は米国にとってはほぼ恒常的に、最も(または2番目に)輸入額が多い品目となってきた。原油価格は最近になって、数年前につけた最安値から2倍近くにまで値上がりしている。

ただ、水圧破砕法(フラッキング)の普及による産出量の増加や、オバマ前政権による40年ぶりの原油輸出の解禁によって、米国産の原油の輸出量は大幅に増加してきた(輸出額はここ2年で150%以上増えている)。輸入額の増加の一部は、それによって相殺されていた。

3. 好景気:米国では好景気が続いており、企業も消費者も買い物をしている。これは、最も重要な点だ。トランプは確かに、好調が続く米経済を自らの功績だと主張することができる。だが、トランプがそう主張すれば、そこには矛盾がある。史上最長の期間に迫る景気の拡大は、現政権の発足前から始まっていたのだ。

本当に赤字を減らしたいなら、トランプは景気の腰折れにつながる政策を導入していればよかったのだ。一般的に、貿易赤字は経済が好調なときには増加し、不調な時には減少するものだ。例えば、世界的に景気が後退した2009年、米国の貿易赤字は前年の約8162億ドルから、およそ5035億ドルに縮小した。

編集=木内涼子

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