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2018.11.16

消費財メーカーは大手より「小規模」に強み M&A増加の一因に

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顧客の獲得において消費財(CPG)メーカー大手はもはや、従来の優位性を失っている。170億ドル(約1兆9300億円)を超える米国のCPGメーカー全体の売上高のうち、小規模企業が占める割合は2013年以降、増加し続けている。

市場調査会社IRIが10月に発表した報告書によれば、年間売上高が1億ドルに満たない「極小」規模のブランドの売上高は今年に入り、4.9%増加。その他の規模のメーカーと比べ、最も急速に成長している。一方、売上高が55億ドルを超える大企業の売上高は、わずか0.6%の伸びにとどまっている。

大企業とそれ以外のCPGメーカーの売上高には、5年前からこうした違いがみられる。売上高が10億ドル未満のCPGブランドの市場シェアは、2013年の23.5%から2017年には25.7%に増加した(今年の調査期間中の全体の売上高は約6860億ドル)。一方、大手のシェアは同じ期間に、57.7%から55.5%に縮小した。

IRIは、「事業の規模はこれまで、成功に必要な最大の要因の一つだった。だが、電子商取引が平等な競争環境を作り出したことにより、小規模ブランドもこれまでにない形で消費者にリーチすることが可能になった」と説明している。

「電子商取引はそれ自体が実用的なCPGの販売チャネルとして確立され、小規模ブランドが市場に参入する際の障壁を取り除いた。小規模ブランドはこれにより…小売店の限られた棚スペースを奪うために戦ったり、ブランド自体に多額の投資をしたりする必要がなくなった」

例えば、米アマゾン・ドット・コムの利用者が増加し、消費者のオンライン・ショッピングでの支出額が増加するなか、アマゾンの食料品やグルメフードのカテゴリーでは、「ベストセラー」となる小規模ブランドの商品が増加している。

また、ひげ剃りのダラー・シェーブ・クラブをはじめとする直販(DTC)ブランドは、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の「ジレット」など高い市場占有率を維持してきた大手からシェアを奪っている。
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編集=木内涼子

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