この事業を週に一度の副業としてサポートするのが、大都市と地方の人材シェアリングサービスを提供する「Joins」代表の猪尾愛隆。代表自ら、八方尾根開発への副業を実践している。
彼が事業をサポートするグランピングフィールドで、「地方創生」の鍵を聞いた。
空間作りも備品もすべてSnow Peak
長野駅前に停まっていた専用バンに乗ること約1時間。白馬八方尾根スキー場に到着した。フィールドのある北尾根高原へは、シーズン中はスキー客が乗る4人掛けのリフトで向かう。
その名の通り、空間作りを監修したのも、フィールドの備品もアウトドアブランドの「Snow Peak」。敷地内にあるのは、紅葉した白馬の自然を臨む宿泊用のテント8張り。露天風呂や足湯、ディナーに使用するダイニングテント、そして終日ドリンクを楽しめるラウンジテントだ。
北尾根高原に到着した8組16名のゲストたちは、専用バギーでそれぞれ宿泊テントに案内され、軽い昼食をとった。
「何もしない贅沢」を謳う「FIELD SUITE HAKUBA」では強制的にアクティビティに参加させられることもない。私たちはテント内のベッドで昼寝をした。
2時間後に向かったのが、宿泊テントの3倍はあるダイニングテント。イタリアで6年、銀座の一流レストランでも経験を積んだシェフによるディナーが提供された。
「信州産リコッタチーズのクレマ」に始まり、「信州サーモンのコンフィ」「信州牛ヒレ肉のロースト」などイタリアンのフルコース全6品に合わせるワインも、全て地元信州産。
ダイニングテント内には、高級店のようなセッティングがされたテーブルが並ぶ。
「食材をはじめ、スキー以外にもこの地域には魅力がたくさんある。それをどう活かすべきかという答えは、地元の皆さんの頭の中にはすでにあることが多いんです」
ディナーの場に同席していた猪尾が言った。
「しかし、人手不足が原因で目の前の業務で手一杯になっていることも事実。やりたいことがあっても新しいことに着手する余裕がない。助っ人が来ても、そういう人たちの力をうまく使うことができていません」