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──徹底していますね。事業のグローバル化についてはいかがでしょうか?

toBやtoCなど、サービスによって状況は異なると思います。ただ、ラクスル のような「リアル×インターネット」の領域ではローカルリーダーシップが非常に重要です。ウーバーの例が分かりやすいでしょう。ウーバーはアメリカ市場で成功を収めていますが、中国市場は滴滴出行(ディディチューシン)、東南アジアはGrab(グラブ)に事業を売却しています。

「何となくグローバル化しよう」では決してグローバル化はうまくいきません。スタートアップがグローバル化するときには、何をグローバル化したいのか、なぜグローバル化したいのか。この考えを整理することが何より大事です。

──ラクスルはチームづくりも非常に上手な印象です。松本さんがチームづくりでこだわり続けているポイントは何でしょうか?

個人的には3つのポイントを大事にしています。1つ目は、共感を生み出すビジョンを発信し続けること。これは最も大切です。2つ目は、自分より優秀な人材を採用すること。これを徹底すれば組織は自ずと強くなっていきます。3つ目は、チームで経営すること。

スタートアップはついつい創業者がトップダウンで意思決定を下してしまいがちですが、会社はひとりではできません。全部自分でやるのではなく、その領域の得意な人物に仕事をお願いする。チームで経営する意識を持つことで会社はさらに成長していくと思います。

──自分よりも優秀な人材を採用する。言葉にすると簡単に聞こえますが、実行し続けることは簡単ではないと思います。なぜ、松本さんは自分よりも優秀な人材を徹底して採用し続けることができるのでしょうか?

1度、大きな失敗を経験したからです。ラクスルは創業時、私の大学の友人など同年代の人材を中心に組織をつくっていました。当時、意思決定はトップダウンでした。最初はそれでも回っていたのですが、事業の成長に組織が追いつかなくなってしまった。

結果的に組織は1度、大崩壊。そのときの経験から、自分ひとりでチェックすることの限界を痛感しました。それ以降、自分よりも優秀な人材を採用するようにしています。

シリコンバレーでよく言われるようにAクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがります。強い組織をつくっていくためには、いかにAクラスのプレイヤーを連れてこれるかどうかだと思います。

いまに焦燥感を覚え、常に学び、変化していこうとする
 
──松本さんの目に、最近の起業家たちはどう映っていますか?

優秀な人が多いと思います。事業のテーマもシャープなものが多い。また、日本のスタートアップ・エコシステムが成熟したことで情報も取得しやすくなっているとともに、私たちの経験が次の世代に伝わっているので、成長のスピードも早い。

もちろん玉石混交ではあるものの、起業を志す人が増えたことは今後の日本経済のことを考えても素晴らしいと思います。

──若手起業家が事業を成長させていく上で注意すべきことはありますか?

いま日本は“カネ余り”の状態で資金調達もしやすくなっていますが、この状態は長く続かないということです。今後、資金調達の難易度は必ず上がっていくと思います。

だからこそ、なるべく早いタイミングで足腰の強い事業を作っていくことが大切。キャッシュフローを創出する事業でありながら、コスト意識も兼ね備える。この2つのバランスをとることが事業成長には欠かせないでしょう。



──最後に次世代の事業家に伝えたいことは?

私自身、まだアドバイスが贈れるほど成功していないのですが……(笑)。アドバイスを贈るとしたら、「いまに焦燥感を覚え、常に学び、変化していこうとする姿勢」を持続していくことが起業家には大切だと思います。

成長している会社と成長していない会社、両社の違いは創業者、経営チームが現状を否定できるかどうかにあります。私もまだまだ成長していかなければいけないと思っていますので、みなさんと一緒に成長していきたいですね。

文=松浦朋希 写真=小田駿一

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