ビジネス

2018.12.10

「ロードスターはマツダのものじゃない」藤原副社長に聞くモノづくりの真髄

マツダ 代表取締役副社長 藤原清志


三宅:以前、瀬戸内を舞台にした藤原さんの構想を伺った時、その凄さに身震いがしたんです。改めて、今後考えられている展開についてお話しして頂けませんか?

藤原:広島に「知」すなわちインテリジェンスを還元したいんです。広島は色々な知が集まる場所だと思っているので。我々車メーカーには工業の知識があるし、お酒だって発酵の知識があって生まれるものです。それらを集めて、イノベーションが生まれ、更にはそれらが融合する環境をつくりたいんです。そうすれば、人が集まり、成長し、更なるイノベーションが生まれる。これは是非実現させたい。

今の日本には、イノベーションが生まれる場所が少ない気がする。都市がイノベーションの聖地であると思われがちですが、私は全くそうは思いません。例えばナイキやアマゾンの本社はどこにあるのかって話ですよ。オレゴン州とワシントン州であって、NYやLAにあるわけではない。イノベーションは、その源を辿ると地域の持つ風土や環境にあると思うんですよね。

その点で広島はとても良い。瀬戸内海があり、多島美の美しさがあり、サイクリングしても気持ち良いし、釣りもヨットもできるし、ちょっと車を走らせればスキーもできる。こんなに素晴らしい場所はない。



広島に知識をクリエイトできる環境をつくれば、もっと面白い地域になって、もっと特徴的なものが生まれるようになるのではと構想しています。これからどんどん仲間を増やしていきますよ!

三宅:ぜひ仲間へ入れて頂きたいです。労働集約型的な取り組みでなく、個人への尊重というか、一人一人がどれだけクリエイティビティを発揮できるか、ということに向き合われているのですね。

藤原:そのためには遊んだり、リラックスできる状態も必要なので、住居環境や教育も含めた大きなグランドデザインを構想しています。瀬戸内は温暖で、時がゆったり流れるような雰囲気がある。地域の特徴を大事にしながら、価値を引き出していけば、コンセプトや考え方次第で、それらはいくらでも良いものができると思っています。


藤原清志◎マツダ株式会社 代表取締役副社長執行役員 社長補佐、北米事業・研究開発・MDI統括。1960年岡山県生まれ。同志社大学機械工学科卒業後、1982年にマツダに入社。商品企画に配属。1988年にヨーロッパに赴任し、2003年にはマツダモーターヨーロッパ GmbH.副社長就任。その後、商品企画などを経て、2007年にパワートレイン開発本部長に就任。「スカイアクティブ」テクノロジーの開発を統括。

監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり

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