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アドテク、企業、ベンチャーキャピタルやニューヨークのベンチャー企業について執筆するスタッフライター

クアルトリクスのライアン・スミスCEO(Photo by Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch)

米国のユタ州本拠のクラウド業界のユニコーン「クアルトリクス(Qualtrics)」のIPOに熱い視線が注がれる中、土壇場になってドイツのIT大手SAPが同社を買収した。

SAPは11月11日、クアルトリクスを現金80億ドル(約9100億円)で買収したと発表した。SAPはこのディールのために70億ユーロ(約9000億円)を確保し、2019年前半までに買収を完了する予定だという。

SAPはクアルトリクスを傘下に収め、これまでセールスフォースの牙城だったCRMソフトウェア市場でシェア拡大を図る。

クアルトリクスのライアン・スミスCEOとSAPのビル・マクダーモットCEOは、この数週間でお互いをよく理解し合えるようになったという。その間、スミスはIPOに向けたロードショーを行い、売り出し株数を13倍も上回る応募があったという。

両社はアンダーアーマーなど共通の顧客を多く持つため、クアルトリクスのカスタマーエクスペリエンスデータと、SAPのオペレーションデータを組み合わせることで大きな価値を生み出せることは容易に想像できたという。

「IPOするよりも、SAPの傘下に入る方が安心できると感じた。両社が組むことで、10年を要することが明日にも実現することが可能になる」とスミスは話す。

一方、マクダーモットは「クアルトリクスの“X”(カスタマーエクスペリエンス)データと、我々の“O”(オペレーション)データを融合させられる。スミスは最適なパートナーだ」と述べた。

スミスは、弟のジャレドと父親のスコットとクアルトリクスを創業した。IPOの申請書類によると、3人の保有比率は45.5%だという。彼らは昨年、7500万ドル相当の株式を売却している。今回の買収で彼らが手にする金額は、税引き後で約26億ドル(約2960億円)になると推測される。

クアルトリクスの2017年の売上高は対前年比52%増の2億8990万ドルだった。SAPの声明によると、2018年の成長率は40%を超え、売上高は4億ドルを上回る見込みだという。

編集=上田裕資

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