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(左)グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一、(右)ミラティブの赤川隼一

赤川隼一が2018年2月に設立したミラティブは、スマホ向けライブ配信プラットフォーム「Mirrativ(ミラティブ)」を運営。同社は、赤川が執行役員を務めていたDeNAの新規事業をMBO(経営陣による買収)して立ち上げた。ゲーム実況・生配信で成長を続け、8月にはユーザーがアバターを操作しながらライブ配信できる「エモモ」の提供を開始。限定公開ながらすでに2万人以上がバーチャル化してコミュニケーションを行った。

高宮慎一がパートナーを務めるグロービス・キャピタル・パートナーズは18年3月、同社への投資を実行。高宮は、自身が投資をしたメルカリに続く、世界的スタートアップになる存在として同社をあげる。


高宮:私がミラティブを「NEXTメルカリ」と言っているのは、世界を狙える事業のポテンシャルに加え、赤川さんがスーパーな起業家だから。すごくロジカルにもかかわらず、赤川さんの口グセを借りれば「エモい」。高い戦略性に加え、人を惹きつける熱さ、そしてビジョンに対して確信めいていて疑う余地なく突き進んでいる。オール・ジャパンの経営陣を作れる巻き込み力があります。

赤川:DeNAの執行役員時代、海外展開担当でしたが、うまくいかなかった。「今度こそ世界で勝ちたい」という想いが強いし、それを実現できるポテンシャルも感じている。だからこそ、日本発世界での成功体験があり、想いに一番サポーティブな高宮さんしかいないと投資をしていただきました。

ゲーム実況領域では、ビデオゲームの腕を競う「eスポーツ」で、プロの世界大会をやろうとしている国内外の企業は多い。ただ、僕らは、「SNSの次のコミュニケーションサービスを作る」という哲学があり、スマホひとつで、上手くなくても誰でも配信でき、会話できるプラットフォームであることを大切にしてきた。その結果、世界で唯一といえるサービスになりました。

高宮:赤川さんがよく言っている「友達の家でドラクエをしている感じ」。ドラクエをやりながらワイワイやって関係ない学校の話とかもする、みんなでおやつを食べて仲良くなるという世界観。現在、スマホゲーム配信者数日本一で、アクティブユーザーの平均配信・視聴時間が1日100分と、「強烈な熱量を持ったコミュニティ」ができています。

僕は、世界で勝つためには、「日本の文化的背景や、爛熟したモバイル市民文化から出てきた先進的なサービス」こそ一番チャンスがあると思っています。江戸時代の浮世絵や浄瑠璃が世界で人気を博しているように、ユーザーの成熟度が高まれば、最も競争が激しい米国市場も取れると思います。

赤川:絵文字も日本から広まりました。バーチャルユーチューバーという、極めて日本的な、米国人が今は「クレイジーだ」という独自文化も同様だと思います。我々のミッションは「わかりあう願いをつなごう」。なぜ、人はコミュニケーションをするのか、という理由は、相手にわかってもらいたいという欲求・願いを人が常に根源的に持っているからだと思っています。個々人がもつその願いを、一人一人つないであげたい。自分が好きなゲームや遊びを通して、仲良くなるという「わかりあいの加速装置」。それを同時多発的に、ロングテールで起こしていきたい。

高宮:赤川さんには、とにかく大振りして、一気に世界を獲りにいってほしい。ミラティブは今、世界で戦う入場券を持っている。投資家陣、コーチ陣もオール・ジャパンを作り、ミラティブのW杯優勝を見たいと思います(笑)。


たかみや・しんいち◎グロービス・キャピタル・パートナーズ・パートナー兼チーフ・ストラテジー・オフィサー。東京大学経済学部卒、ハーバード大学経営大学院MBA修了。アーサー・D・リトルを経て、2008年、同社に入社、現在に至る。主な投資先は、アイスタイル、カヤック、ナナピ、メルカリなど。

あかがわ・じゅんいち◎ミラティブ代表取締役CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業。2006年、DeNAに入社。広告営業やマーケティングに携わったあと、「Yahoo!モバゲー」、韓国支社DeNA Seoulを立ち上げ。その後、執行役員として海外事業の統括やゲーム開発に従事。18年2月、エモモ(現・ミラティブ)を創業した。

文=山本智之 写真=平岩享

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