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2018.11.15 17:00

「モバイルヘルス革命」の震源地、アフリカのスタートアップ11選

Hear X Groupの聴覚検査はスマートフォンで行える


6. ガーナ / 救急車に正確な目的地を案内
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ガーナでは住所制度が整備されていない。そこでtinyDAVIDは、最小25cm四方の小さなグリッドに分け、そのすべてに固有の位置コード(SnooCODE)を割り振って、住所表記や郵便番号の代わりに使う壮大なシステムを構築している。この固有コードを、救急車を呼ぶ際に活用するSnooCODE REDアプリも開発した。

救急車を呼ぶ人は住所表記よりも正確な位置を伝えられ、救急車は渋滞をできるかぎり回避できる最短ルートの情報を知ることができる。2014年に創設され、英ボーダフォン基金などが出資している。英ワーウィック大卒の創業者セシナム・ダガドゥCEOは17年、ブリティッシュ・カウンシルからガーナの起業家として表彰されている。


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7. ルワンダ / 点滴ミスを監視・警報で予防


点滴は人間頼みの部分が多く、輸液が切れて血管に空気が入るようなミスも、新興国ではまだ珍しくない。そんな点滴の状況を無線経由で遠隔モニターでき、異常が起これば警報も受けられるのが、ルワンダで開発が進むIV Drip Alert Systemだ。プロジェクトを主導するアンジュ・ウワムバジマナは国立トゥムバ技術大学卒のIT技術者。現在はルワンダ中央銀行のITインフラ部門に在籍中で、起業はしていない。だが、IV Drip Alertは国内の医療機関で試験運用が進み、今年5月には有望なスタートアップに選ばれてイスラエル派遣ミッションに参加している。

8. ウガンダ / 着れば肺炎がわかるベストを開発

肺炎はマラリアなどと症状が似ており、アフリカでは確定診断は容易ではない。誤診で手遅れとなり、祖母を肺炎で失った知人の話をきっかけに、肺炎診断システムの開発に乗り出したのがMamOpeの共同創業者兼チーフ・データ・サイエンティストであるブライアン・トゥリャバギエだ。MamaOpeシステムは、患者に着用させれば体温や呼吸状況を常にモニターできる専用ベストや、そのベストから送られるデータをクラウドに蓄積して解析し、診断を助けるアプリなどからなる。トゥリャバギエCDSは、thinkITのギッタCEOと同じ国立マケレレ大出身。

9. タンザニア / ガラケーで契約可の少額医療保険

「金がないから病院に行けない」という状況の改善を目指し、新興国で少額医療保険が誕生している。タンザニアも例外ではない。リリアン・マコイCEOがJamii Africaを創業したのも、親友の夫が診察に要る25ドルが工面できずに亡くなったためだ。Jamiiの特色は、フィーチャーフォンでも保険契約を結べる点。月額1ドルからの保険料で、国内160以上の提携医療機関の診療が受けられる。マコイCEOは2016年に世界経済フォーラムから「アフリカで最もイノベーティブな女性」に選ばれた。Jamiiはすでに75万ドルの資金調達に成功している。

10. ナイジェリア / 高度な嗅覚センシングでガン診断

オシオレノヤ・アガビCEOが創業したスタートアップのKoniku。2017年、爆発物を検知できる嗅覚センシング技術を開発したと発表して、英BBCが報じるなど世界的な話題になった。同社はこの技術をさらに発展させて、体内のガン細胞の有無を嗅ぎ分けるシステムを開発している。鋭敏な嗅覚を担う神経細胞と同じ働きを持つ機器「Koniku Kure」は、片手サイズまで小型化された。

創業は15年で、拠点は米サンフランシスコとナイジェリア。アガビCEOはナイジェリアの国営ラゴス大学を01年に卒業した後、スウェーデンやスイスに留学し、起業前には英国で脳細胞の研究などに使われる光子励起顕微鏡の開発に携わっていた。

11. ウガンダ / マラリア診断を迅速&低コスト化

患者の指に照射した特殊な赤色光の透過によってマラリア感染が診断できるシステムMatibabuを世に送り出した。採血不要で、費用や時間、そして採血跡からの感染リスクも抑えられる。ウガンダでは今もマラリアで命を失う人が多く、特に子供や妊婦はリスクが高い。また地球温暖化でマラリアの感染地域は拡大しており、検査・診断の必要性は高まっている。

ブライアン・ギッタCEOは、3回採血されてもマラリア感染が判明しなかったという自身の体験を動機として開発に着手。ウガンダ最高峰とされる国立マケレレ大学で学んだ後、国連人口基金などに勤務。国連エンパワーメント賞などを受賞。

文=岡田浩之、フォーブス ジャパン編集部 イラストレーション=ムティ(フォリオアート)

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