ところが変化の時代では、自分で社会のニーズを見つける「課題発見の力」が求められるようになりました。
自ら問題を定義していく時代で発揮されるのは、テストの問題を解く能力ではなく、地頭の良さです。つまり先述した通り、常にあらゆる角度から、物事を考え続ける力です。それは、教育の力で育てることができる能力であり、大人になってからも鍛えられます。
この手の話をすると、ほとんどの人は「今の時代は、まったく新しい能力が必要とされる時代なのだ、自分は時代遅れだ」と捉えてしまうようなのですが、誤解してはならないのは、テストの問題を解くような能力がもてはやされた時代は、日本の歴史において、ものの60年ほどでしかなかったということです。
であれば、本来なら教育も、テスト教育を受けてきた我々も、一旦ズバッとリセットして、能力を鍛え直せばいいのではないでしょうか。それに、何も真新しい能力を求められているわけではありません。少なくとも松下幸之助をはじめとする昭和初期の起業家にはいずれも、今の時代に求められているような地頭の良さがあったのです。
よって、もしこれから生まれる能力格差があるとすれば、それは地頭格差ではなく、「常に物事を新鮮な目で捉え、考え続ける能力」における格差ではないでしょうか。
では、課題発見の時代における地頭の良さ、「常に物事を考え続ける力」とはどのように鍛えればいいのでしょうか。次回は、具体的な方法についてお話ししたいと思います。
連載 : 働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
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