ルピー安だが成長を続けるインド経済、金需要は持ち直す見込み

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インドで先ごろ、5日間に及ぶ祭礼「ディワリ 」が始まった。ディワリは直訳すると「光の行列」という意味で、善が悪に勝ったことを記念する。例年、ヒンズー教の新年と同時期に行われるが、世界中のヒンズー教徒、シーク教徒、ジャイナ教徒の数百万人が祝う祭りだ。

筆者(U.S.Global Investorsの最高経営責任者(CEO)フランク・ホームズ) のブログ「Frank Talk」 を日ごろから読んでいる人なら、ディワリは、大切な人に金貨や宝石を贈るのに縁起がいい時期であり、この時期には金相場が上昇するほど金需要が増加することを知っているはずだ。

ところが今年は、祭礼が行われる秋が近づくにつれて、金貨や宝石の需要が鈍化した。対ドルでのルピー安が原因で、一部の消費者は貴金属に手を出しにくくなったのだ。

ロイターによれば、金相場は10月末に、2013年9月以来の最高値となった。一般的には、ディワリを見込んでプレミアムが上乗せされるものだが、今年は、小売店の多くが客を呼ぶために値引きしようとしていると報じられている。

ルピーは、今後も苦しい状況が続く恐れがある。UBSインベストメント・バンク は先ごろ、投資家宛の文書のなかで、原油価格は世界的に高い水準で推移しており、インドの通貨ルピーには引き続き圧力がかかるだろうとの予測を示した。

インドでは、原油の輸入が輸出を上回っている。そして、原油価格は1年間で20%以上の増加となった。これは、ベネズエラやリビアをはじめとする産油国の原油供給不安による影響だ。

インドにとって、イラクとサウジアラビアに次ぐ第3位の原油供給国である大手産油国イランにアメリカが制裁を課したことも、原油価格上昇の原因となっている。アメリカは対イラン制裁を11月4日に再発動した。

中国よりも速いペースで経済成長するインド

それでも、インド経済は現在、世界最速で成長を続けている。インドの中流層は拡大しており、長期的には経済成長が金需要に前向きな影響をもたらすだろうと筆者は考えている。

国際通貨基金(IMF)は先ごろ、インド経済の2018年の成長率は7.3%になると予測した。中国経済の期待成長率と比べて0.7%、新興経済国や発展途上国の平均値より2.6%も高い。インドは2019年、成長率7.4%と、さらに速いペースで経済成長を遂げると見込まれている 。

その上、インドのビリオネアが有する資産は2017年に36%も増加したことが、UBSが先ごろ発表したレポートで明らかになっている。ビリオネアの人数は19人増え、合計119人となった。ビリオネアが増えれば増えるほど、金需要に目立った影響を与えるだろうと筆者はみている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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