同国の電子商取引(EC)最大手アリババ集団の蔡崇信(ジョー・ツァイ)副会長は年間で最大のショッピング・イベント、「独身の日」のセールを行った11月11日、自社のブログでそう述べた。この日の売上高は今年も、最高記録を更新した。
中国政府の最新のデータは、家電製品や自動車など高額商品の売り上げに「弱さ」が見られることを示している。消費者は「将来への不安感から、耐久財の購入を控えている」との見方もある。
だが、ツァイは11月初めに行った第2四半期(7~9月)の決算発表で、「アリババのECサイトである天猫(Tmall)や淘宝網(Taobao)などでは、生活必需品や化粧品や衣料品の売上高の“大幅な増加”が続いている」と説明。次のように述べた。
「(中国の)中間所得層の実質賃金は過去10年ほどの間に大幅に増加した。彼らは自らの自由裁量所得と、ますます洗練されていくライフスタイルに合った高品質の商品を求めている」
ツァイはまた、経済協力開発機構(OECD)の予測を引用。中国の中間層の所得は2030年までに、現在のおよそ3億ドル(約341億9300万円)から3倍に近い約8億5000万ドルまで増加するとの見通しを示した。
今年の「独身の日」に見られた傾向はアリババの今後について、次の3つの点を示唆している。
各国企業が中国「中間層の財布」を狙う
アリババが「独身の日」のセールを始めた2009年、中国以外から参加したのはアディダスなどわずか27のブランドだった。今年は国内外を合わせて、およそ18万のブランドが出品した。
アリババによると、独身の日に買い物をした人の40%以上が、外国ブランドの商品を注文した。また、同日の流通総額(GMV)が1億元(16億3800万円)を超えたブランドは、アップルやダイソン、キンドル、エスティ― ローダー、ロレアル、ネスレ、Gap、ナイキ、アディダスなど、約240に上った。
米中が貿易摩擦の問題を抱えるなかでも、中国の消費者が米国の製品を好む傾向が変化する兆しはみられなかった。米国企業のGMVは、日本企業に次いで2番目に多くなっている。