次世代コンピュータに必須の「光チップ」企業Ayar Labsの挑戦

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2020年には販売開始を予定

Ayar Labsが開発する光チップは、従来のように銅を使って電子を動かしてデータを伝送するのではなく、データを光の形に変えて光ファイバで伝送させる。これにより、これまでより飛躍的に速くデータを伝送することができ、チップをアイドル状態にせずに常にデータ処理を行うことが可能になった。また、エネルギー消費を抑えることもできる。

「プロセッサは、アイドル状態でも処理をしているときと同じだけパワーを消費する」とWright-Gladsteinは話す。クリーンテック業界出身のWright-Gladsteinにとって、エネルギー効率の向上は大きな魅力だという。

「エネルギー業界では、エネルギー効率の向上は投資回収が数年後になることも多いため、セールスポイントになりにくい。しかし、コンピュータ業界では、処理速度の向上と合わせてエネルギー消費を抑えることをアピールすることができる」と彼女は話す。

Ayar Labsは、既に試作モデルを開発し、銅ピンを使ったチップよりも高速にデータ伝送ができることを実証している。次のステップは、調達した資金を使って量産化を図ることだ。現在、同社はある企業と提携して量産化を進めており、2020年に販売開始を予定している。

Founder’s FundのVanDevenderによると、テクノロジーを実証できたことはAyar Labsにとって大きな強みだという。「Ayar Labsがスタートした当初、業界では光チップの実現は不可能だと考えられていた。しかし、彼らはこのアプローチが業界にとって必要であり、実現する方法があると確信し、それが正しいことを証明してみせた」と彼は語った。

編集=上田裕資

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