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「遊び」で変わる地域とくらし


もう一つ面白い例がある。子供の頃には誰もが経験したであろう「雑巾掛け」。この雑巾がけを観光客がお金を払う「遊び」として成立している場所が、愛媛県にある。宇和米博物館という、廃校(旧宇和町小学校)をリノベーションした博物館だ。

館内にある日本一長い木造廊下の長さは、なんと109m。100mを超える長さは一つの強みながらも、スタッフがタイムを測定し、友達とタイム競うような競争をさせるなど、雑巾がけという作業を「遊び」にさせる工夫を施している。年に1度、雑巾がけのガチンコレース「Z-1グランプリ」もあるほどの雑巾がけのメッカになっている(今年度は、西日本豪雨の影響で開催が見送りとなっている)。


愛媛県・宇和米博物館にある日本一長い木造廊下

少し話はそれるが、小学生の頃に人気だった先生というのは、「作業」を「遊び」に転換させるのが上手くなかっただろうか? ゴミ拾いも、ただ拾わせる作業ではなく「1分間のうちに一番多く拾った人が優勝」「チーム対抗ごみ拾い」のように見せ方や切り口を転換して、できるかぎり楽しく転換する。子どもたちに「やらせる」のではなく「やりたくさせる」ことで、自主性も真剣さも変わってくる。

「作業を遊びに転換する能力」が求められている

近年ますます、この「お金を貰うための作業」と「お金を払う体験・遊び」の境界線がなくなってきている。驚くほどあらゆる作業が、見せ方、切り取り方、ストーリーの伝え方次第で遊びになっている。

そこで大事なのが、提供者側が遊びとしての工夫を施すことである。ホタテを磨く作業であれば、ただの作業にならないように、ホタテの生態や漁についてのストーリーを伝えること。雑巾がけも、雑巾と長い廊下だけでは「遊び」にはならない。タイム計測や友達の競争が好奇心をくすぐるのだ。もしかしたら、ファンファーレやBGMがあってもいいかもしれない。実況中継があっても面白い。


地元の人と並んで同じ体験をすると、ただ食べるだけでは知り得なかったストーリーに出会える

これは体験や遊びだけではなく、仕事にも通じるものがある。営業活動の成果を可視化して競わせるのもそうかもしれないし、業務の達成における表彰制度もそうかもしれない。リーダーであれば、部下が楽しめるような仕組みづくりを、メンバーひとりひとりも、自ら工夫して「作業を遊びへ転換する」ことを意識すると、違った世界が見えてくるのではないだろうか。

文=内田有映

デル
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