中国では今年、スマホメーカーの「シャオミ」や、フードデリバリーの「美団点評」、アップルやファーウェイの製品の組み立てを担う「Lingyi Technology」らが上場したが、IPO当初の熱気は長くは続かなかった。
シャオミや美団点評、Lingyi Technologyの株価は11月8日時点で、上場当初の価格を下回っている。株価がIPO価格を上回っているのは、格安Eコマースの「Pinduoduo(拼多多、ピンドォドォ)のみとなっている。
背景には米中の貿易摩擦の懸念の高まりや、中国の国内経済の減速、さらにこれらの新興企業が高すぎる評価を得ていたことがあげられる。これらの企業はいずれも、長期的視点での企業価値の正当化という課題に直面している。
「中国のテック企業の多くは今後、投資家たちに彼らの価値を証明する必要がある」と上海の調査企業Gobi PartnersのKen Xuはコメントした。
シャオミは10月時点で今年のスマホの出荷台数目標の1億台を達成し、最も高価格な機種「MIX 3」を市場に投入すると宣言した。しかし、同社の時価総額は7月初旬のIPO時点から約30%も下落し、120億ドル(約1.4兆円)以上を失っている。
シャオミは長期的目標として、スマホよりも利幅が大きい音楽やゲーム配信を伸ばす計画だが、2018年上半期において、それらのインターネットサービスの売上比率はわずか9%に留まっていた。
美団点評の株価も同様に、IPO価格を10%下回る価格となっている。中国ではビットコインのマイニングを手がける「Bitmain」も上場申請を行ったが、今後の見通しは楽観できない。
「中国の株式市場ではテック関連銘柄が供給過多になっている。投資家たちは、高すぎる企業価値に疑念を抱いている」とGobi PartnersのXuは指摘する。
ただし、全ての新興テクノロジー企業が苦戦しているわけではない。10月末に「バイトダンス」はソフトバンクが主導する資金調達ラウンドで、企業価値750億ドルで30億ドルを調達し、創業者のZhang Yimingの資産額は68億ドルに達した。
短編動画アプリ「TikTok」やニュース配信サイト「今日頭条」で知られるバイトダンスは、他の新興企業のような困難には直面しないと思われる。
「米中の貿易摩擦の懸念が払拭される、もしくは、中国経済が米国の制裁関税措置に耐えうるものであることが証明されれば、株価は再び上昇するだろう」とニューヨーク本拠のMKM PartnersのRob Sandersonは述べている。