上海で開催されたアリババのイベントにはマライア・キャリーやミランダ・カー、シルク・ドゥ・ソレイユなども登場し、テレビや動画ストリーミングサイトYouku(优酷)ではライブ中継が実施された。
独身の日の売上規模は既に、ブラックフライデーとサイバーマンデーの合計を突破しているが、今年はアリババ創業者のジャック・マーが「世界で最も愚かな事態」と呼ぶ、米中の貿易戦争のへの懸念の高まりのなかで実施された。
アリババは傘下の東南アジアの「ラザダ(Lazada)」を通じ、今年は独身の日のプロモーションをシンガポール、マレーシア―、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムに拡大した。
毎年11月11日に開催される独身の日は、1990年代に南京大学の学生たちが、恋人のいない学生のための集まりを開いたのがルーツだとされている。11月11日は1が4つ並ぶことから、シングル(独身者)であることを祝福するのにふさわしいと考えられた。
アリババは2009年に独身の日のショッピングセールを始動したが、その舵取り役を務めてきたダニエル・チャン(張勇)は来年、ジャック・マーの後継者として同社会長の座を引き継ごうとしている。
ジャック・マーは現在、中国で最も裕福な人物で、資産総額は344億ドル(約3.9兆円)と推定されている。彼は今年9月、2019年に現職を退くと発表していた。
「アリババの経営をダニエルと彼が率いるチームに任せる時がやってきた。今後は次世代のリーダーたちが会社の経営を担っていく」とマーは、従業員や顧客、投資家に宛てた書簡に記した。
ダニエル・チャンはここ10年の独身の日のセールスを押し上げただけでなく、アリババが近年注力する次世代型食品スーパー「盒馬(Hema)」の拡大戦略を担っている。
中国のEコマース分野では競合のJD.comやPinduoduo(拼多多)との戦いも激化していく見通しだ。時価総額が3755億ドル(約42兆円)に及ぶアリババの今後の命運は、新会長のチャンの手腕にかかっている。