米トラック輸送協会(ATA)によれば、好景気と、商品の迅速な配送を望む消費者たちの飽くなき欲求に後押しされ、アメリカでは2017年のトラック輸送年間売り上げが推定7000億ドル(約79兆7300億円)に上った。しかし、トラック業界はドライバーが足りておらず、特にハイウェイを走行する長距離トラックは人不足に悩んでいる。2017年は5万人が不足したとATAは推測している。
自動運転トラックでハイウェイを走るのは、交通量の多い町中や郊外の道路を走行することと比べて複雑ではない。注意が必要な左折や、二重駐車の車両、自転車、歩行者、犬といった障害物に遭遇する可能性がはるかに低いからだ。
いまの段階では、豪雨のなかで走行できることは、それほど大きな強みではないかもしれない。しかし、TuSimpleは重要だと考えている。その強みを生んでいるのは、ソフトウェア開発への異なるアプローチと、LiDARセンサーよりは高解像度カメラに大きく依存するシステムだ。LiDARセンサーは暗闇でもよく見通せるが、雨の影響を受ける可能性がある。
TuSimpleのバイスプレジデント、Chuck Priceはフォーブスの取材に対し、「2つの関連した技術開発によって、雨天時でも安全な運転が可能になっている」と述べた。「当社のカメラは、LiDARよりも雨の影響をずっと受けにくい。また知覚システムは、物体がゆがめられたり、雨で部分的に不鮮明になったりした場合でも、正確に見きわめられるようトレーニングされている」
加えて、「強い横風が吹いて大きな負荷が横から不意にかけられたとしても、TuSimpleの制御ロジックがそれを封じるので、強風が吹くなかでもトラックはレーンから外れることなく安全に走行できる」とPriceは話す。
TuSimpleは3年前にスタートした。共同創業者のひとりであるXiaodi Houは、カリフォルニア工科大学を卒業した認知科学者で、いまはTuSimpleの最高技術責任者(CTO)と、アメリカ部門のプレジデントを務めている。
現在同社は、アリゾナの砂漠を突っ切るインターステートハイウェイ10号を使った商業貨物輸送から小規模な売り上げを得ていると同社はいうが、顧客の名前は明かしていない(同社には中国に関連会社があり、この会社は港で貨物輸送を行うロボットトラックを中心に開発している)。2019年からは、アメリカでの業務を大幅に拡大する予定だ。
Houは先ごろ行われたインタビューで、「2019年までには、100台から200台の車両を保有する見込みだ」と語った。正確な数字を挙げられないのは、さまざまな業界からセミトレーラーに対する需要が集まっているためだとし、「いまのところ、新しいトラックを入手できるまでのリードタイムは50週間だ」と述べている。