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放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。

放送作家・脚本家の小山薫堂が「有意義なお金の使い方」を妄想する連載第39回。若き匠を発掘し、新たなものづくりを応援するレクサス主催のプロジェクト。スーパーバイザーに就任した筆者は、今夏、匠に会うため徳島へと向かった……。


2016年から始まった「LEXUS NEWTAKUMI PROJECT」も、はや3年目を迎えた。これはまだ広く世に知られていない若手の職人・工芸家・デザイナーの才能を発掘し、彼らの新たなものづくりが世界レベルで戦えるようになることを後押しするプロジェクトだ。僕は初年度からスーパーバイザーとして関わっている。

匠は、全国の新聞社およびサポートメンバーにより各地域から推薦される「地域推薦」と、サイトを通じてエントリーいただく「一般公募」があり、その後、選考委員による審査・選考を経て、各都道府県から1人ないしは2人、計約50名が選定される。プロダクトのジャンルは生活雑貨、家具、インテリアアクセサリー、食器、ジュエリーなど幅広い。ただし、量産・実利用が可能であること、地域の特性や地場の技術を活かしたものが望ましいとされる。

次に匠によるプロダクト試作に進むのだが、このときに、メンターと呼ばれる3人がサポートをしていく。これまでつくってきたものでは意味がないので、「こんな技術があるなら、こういうものがつくれるのではないか?」というアドバイスをするわけだ。

プレゼンテーションは半年後。プロダクト試作品を、国内外の百貨店、セレクトショップバイヤーやメディア、デザイン関係者などの前でお披露目する。マッチングが叶うかどうかは試作品次第。あとは、僕とメンターの計4人で「注目の匠」をそれぞれひとり選んで、表彰するという流れだ。

昨年の第2回で僕が選んだのは、和歌山県代表の伝統工芸士、東あずま福太郎君のつくった「桐のビア杯 鳳凰」だった。1本の桐から切り出してつくられていて、驚くほど軽い。しかも保温性にも優れている。

ビア杯も素敵なのだが、桐の筒に入れたコーヒー豆が1年経っているのに新鮮な匂いと品質をキープしていることに僕は驚いた。それですっかり東君の本業である桐箪笥が欲しくなってしまった。小さなプロダクトを通して本業に興味を誘う、それは非常に意味のあることだと思う。

このプロジェクトの素晴らしさは他にもある。レクサスのCSRではあるが、「レクサスに関係あるものをつくってくれ」なんて無粋なことは一切言わない。しかも、各都道府県代表のプロダクトは各地区のレクサスショールームで展示される。要するに根っこにあるのは「地元の伝統工芸や文化を盛り上げたい」という純粋な想いのみ。

また、選出された匠を地元の新聞社が丹念に追いかけて取材を続けるのもポイントだ。新聞記事にするという広告モデルと、伝統工芸の応援が非常によくマッチングされている。

イラストレーション=サイトウユウスケ

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