フォードのモビリティ部門のプレジデント、Marcy Klevornは「米国では1日あたりの電動スクーターの乗車回数が24万件に達しており、1日の売上は100ドルに及んでいる」と述べた。
Smart Mobilityは新たな移動のあり方を研究し、Ford Xを通じて他社との提携も進めている。同社は通勤者用ライドシェア企業の「Chariot」を買収し、米国の9都市とロンドンで運用中のほか、自転車シェアの「Go Bikes」をサンフランシスコで展開中だ。
Spinは現状で米国の13都市に展開中で、今後はデトロイトでのサービスも予定している。デトロイトではSpinだけでなく、同業の「Lime」や「Bird」も今夏から事業を開始していた。この分野の競合には「Scoot」や「Skip」などもいる。
電動スクーターのシェア業界では、専用駐輪場を設けないドックレス方式が主流で、Spinもこの形態で運用を行う。Spinの利用料は1回のレンタルが1ドルで、1マイルあたり0.15ドルの追加料金がかかる。
この分野の歴史はまだ浅く、約9カ月前にBirdとLimeが米国西海岸の各都市で突如、サービスを始動したのが発端となった。専用アプリから最寄りのスクーターを探し、安価に短距離の乗車が行える利便性が好評となり、一気に全米に広まった。
しかし、路上のあちこちにスクーターが放置される状態に、地元の住民や当局からは怒りの声もあがっている。また、利用者の大半はヘルメット無しで乗車するため、安全上の懸念もある。
Spinはこの分野のパイオニアの1社で、LimeやBirdと同時期にサンフランシスコで始動した。フォードのKlevornはSpinを買収した理由として、同社が地元の当局の規制に沿った運用をしていることをあげた。同社は今後の18カ月で、Spinのサービスを100都市に拡大する計画だという。
Smart Mobilityは今年に入り、別のスタートアップ企業「Autonomic」も買収していた。同社はTransportation Mobility Cloudというプラットフォームを開発し、交通関連のサービスを統合的に運用するエコシステムを作り上げようとしている。今後の2年で、フォードは1つのアプリから、様々なモビリティ関連のサービスが利用可能なサービスを構築したい考えだ。
フォードはまた、Smart Mobilityと自動運転部門の「Ford Autonomous Vehicles」が連携をとる形で、自動運転時代の到来に備えようとしている。
「Spinは当社のモビリティ分野の戦略を補完するユニットとなる。都市の交通分野の未来を見据えたうえで、Spinをフォードのエコシステムに組み込むことを決めた」とKlevornは話した。