史上もっとも賢いアウディが「自動運転の壁」を破るのはいつ?

新型アウディA8


賢いA8にはさらにもう一つ安全装備がついている。もし横からの衝突を感知したら、A8はぶつかる側のサスペンションを瞬時にあげ、Bピラーではなく、特別に強化されたサイドシルが衝撃のエネルギーを吸収するようになっている。それを試してみたくてたまらなかったけど、なぜかアウディ関係者からのイエスが出なかった。

室内は期待通りの上質感。2枚の最新ディスプレーを誇る「バーチャル・コクピット」はスイッチ類が少なく、使用されているマテリアルは高級感たっぷり。インパネのスクリーンは、文字の手書き入力に対応し、文字を重ねて書けるフィーチャーが新鮮だ。



個人的には、アウディはシックで高級感に溢れるけど、超真面目で少し冷たい感じがする。例えば、メルセデスSクラスのバロック的なカーブと滑らかな表面には温かみがあるが、アウディのモダンでエッジの効いたデザインは近寄りがたいというところだろうか。もちろん好みは人それぞれだけど。

さて、話題の自動運転に戻ろう。A8の自動運転技術はレベル3だハンドルから手を離すことになるので、日本は当然この技術を許さないけど、A8の賢良さは否定できない。従来のカメラとミリ波レーダーに加えて、市販車で初のレーザースキャナーを搭載する最先端のADAS(先進安全運転支援システム)は、これまで読み取れたより視野がずっとワイドなので、本当の自動運転に一歩近づいたことになる。



数カ月前にA8が日本で発表された時、テレビのニュース番組で「レベル3の自動運転が可能になったが、日本では使えない」という情報がかなり取り上げられた。つまり、日本仕様にはレベル3自動運転を作動させる「アウディAIトラフィック・ジャム・パイロット」のスイッチがついていないのだ。ただ、日本と同様、ドイツでも法整備が整っていないのでまだ使うことはできない。それでもドイツ仕様車には付けられているのは、近い将来使えるようになるのを見越してのことだ。

しかも、レーダーと違って、汚れや泥に弱いレーザースキャナーが汚れが付時には、自動的にウォッシャーで洗浄してくれる賢いやつなんだ。

実のところ、A8は世界で最も進化したクルマで、もっともっと新しい技術的が説明しきれないほど搭載されている。いずれ法整備が整うときは来る。自動運転の威力が発揮されるときが来るのは、時間の問題だ。

このA8を買うなら、やはりレベル3の技術も搭載されるフルスペックが欲しい。だから僕だったら、全ての賢い先進的な技術がついて、各国の法制度がその使用を許す時まで、待つだろうな。そうなったら、さぞ面白いだろうね!

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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