しかし、アーティストたちはまだ十分な金額を手に入れられていないという。CISACは今回のアナウンスと同時に、ミュージシャンや作家、ビジュアルアートなどに関わる全ての人々に、著作権侵害と戦うことを促している。
CISAC幹部のガディ・オロンは「アーティストらは自らの正当な権利を手に入れるために立ち上がるべきだ。消費者のなかには、費用を払わない、もしくは最小限の対価で作品を入手しようとする動きもある。しかし、全ての表現者は可能な限り、有利な条件のロイヤリティ交渉を行うべきだ」と述べた。
今年9月にEUの欧州議会は、インターネット上の著作権の保護を強化する改正著作権法案(EU Copyright Directive)を可決した。これにより大手IT企業のプラットフォームが、音楽や映像作品などを掲載する場合、著作権使用料の支払い義務が生じることになる。
この改革案の可決は、ポール・マッカートニー(76)などの有名アーティストらが待ち望んでいたものだった。彼らはグーグルやユーチューブ、フェイスブックらが無料でコンテンツを配信していることを問題視していた。
CISACのプレジデントで電子音楽のパイオニアであるジャン・ミッシェル・ジャール(70)は、声明で次のように述べた。
「欧州は今こそ状況を変えるべき時であることに気づいた。巨大テック企業が独占的地位を濫用し、クリエイターを搾取することは許されない。他の諸国もこの動きに加わるべきだ。多くのアーティストたちが現在の法制度から不利益を被り、生活に困窮している」
CISACが集計した2017年のデータによると、ロイヤリティの総額は前年から6.2%の伸びになったという。過去5年でデジタルサービスからの収入は3倍近くに伸びており、ストリーミングからの収益が大きく貢献したという。