「ねじれ議会」が米経済に好都合な理由

中間選挙の翌日、多くの記者から質問を受けたドナルド・トランプ大統領(Photo by Al Drago - Pool/Getty Images)


経済を動かすのは政府ではなく、自身に最善の選択肢を選ぼうとする無数の個人や企業だ。政府の経済政策は、公益だけを考えたものとは限らない。私たちはこれを、ニスカネンが残した官僚制理論から学んだ。公共選択理論の一部となっているニスカネンの理論では、政府を構成するのは人間であり、その決定は少なくとも部分的にその人自身の野望を反映するとされる。官僚は、より多くの予算と影響力を求めるのだ。

2019年、20年に向け、連邦政府の支出増加は少なくとも少しは抑制されるだろう。再度の大規模減税は期待できないが、議会の承認が必要ない分野での規制緩和は期待できる。この方向性は、経済にとってプラスとなる。

大統領は、単独でも大きな悪さをできる存在だ。オバマ前大統領は2008年の大統領選で、当時のブッシュ大統領にあまりに多くの権力が集中していると主張したが、当選後はその態度をがらりと変えた。民主党が多数派を占める下院がトランプ大統領にこれ以上の自由裁量権を与えることはまずないが、現行法により大統領に認められている力を無効とすることはできないだろう。

これまでは両院が共和党多数だったため、貿易分野ではトランプ大統領が大きな自由を手にしていた。この点については今後も論争が続くだろう。

移民政策については歩み寄りの機が熟しており、少しだけ改善する可能性があるが、大きな進展は見込めない。現行法が理想的だとか、きちんと施行されていると考える人など誰もいないが、これも議会が解決するには難し過ぎる問題かもしれない。そうなれば移民受け入れ数は今後も低いままで、経済成長と人口の変化により引き起こされた労働力不足がさらに悪化するだろう。

連邦政府が2党に分離されている状況では、経済はうまくいくはずだ。私は、この経済予測を変える必要性を全く感じていない。

編集=遠藤宗生

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