5年後、ロボットが夕食を作る未来がやってくる

人と同じ空間で作業することができる協働ロボット。ロボットと一緒に食事を作る未来がすぐそこに。


──AIやロボットが感情を持つほどになり、人間の仕事を奪うのでは? という議論も盛んですが、その辺りについてはどう考えていますか?

私は「ロボット自体は感情を持たなくていい」と思っています。「人に代わって」何かを行うのではなく、「人のために」サービスを行う、ということで良いのではないでしょうか。

私たちが大事にしたいことは、人間が愛したくなるようなロボットを作るということです。人間が仕事を奪われた……と思うのではなく、ロボットと一緒にやることによってクリエイティビティを発揮することができた、と思える状況を作っていきたいです。

──ロボットと協働することで、便利さ以外で人間が得られる恩恵はありますか?

例えば炊飯器が登場したことによって、料理する人のクリエイティビティってかなり上がったんじゃないかと思うんですよ。炊飯にかけていた時間を、他の料理に使えるようになった。自動食洗機にしても、家族のコミュニケーションの時間を増やせましたよね。だから調理ロボットによって、人間のクリエイティビティはもっと発揮される可能性があるのではないかと思います。

──逆に調理ロボットがすべてやってくれるようになると、人間が入り込む隙がなくなるのでは?

ロボットには、あくまでロボットにやらせたいサービスをやってもらえば良いと考えています。人間がやりたいことがあるのであれば、それは人間がやればいい。私は人間がやりたいことをやれる、そのオプションをたくさん提供できる社会というのが良い社会だと思っています。

ロボットが入ることによって、人間がキッチンに入れなくなる、というのは本末転倒。人間がキッチンに入りたければ入ればいい、でもロボットとも仕事ができるよ、という環境作りが重要じゃないかと。私たちが開発するロボットによって、人々にたくさんのオプションがある世界を実現できれば嬉しいです。

ロンドン・モリーロボット社の自動調理ロボット、フランス・エキム社のピザロボット、ボストンにあるロボットが調理するレストラン「スパイス」など、世界では調理ロボットのスタートアップが続々と登場し、各社しのぎを削っています。

しかしながら、家庭用の調理ロボットの開発となるとまだまだ発展途上。コネクテッドロボティクスのような日本発のスタートアップがいち早く実現させ、調理ロボットの分野で日本が世界的なイノベーションを巻き起こすことに期待が集まります。


沢登哲也◎1981年、山梨県生まれ。東京大学工学部、京都大学大学院卒。NHKロボコン優勝、世界大会出場などを経験。飲食関連の企業を経て、マサチューセッツ工科大学発のロボット開発のベンチャーで、産業用ロボットコントローラ開発を担当。2014年にコネクテッドロボティクスを設立し、代表取締役社長に就任。

連載:クリエイティブなライフスタイルの「種」
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文=国府田淳 写真=佐藤祥子

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