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2018.11.14

ギグ・エコノミー時代、日本人に欠けてる「パーソナルブランディング」

TijanaM/ Shutterstock

自由裁量が認められ、自己貢献の認知がある働き方を重視するミレニアルズの価値観や、場所や時間に拘束されない働き方を可能にしたテクノロジーの進化により、単発のフリーエージェントとして働く「ギグワーカー」が増えていることがここ数年で話題になっています。

人事関係者の間でも、数年先を見据えて「ギグ・エコノミー」時代にどのように対処していくのかが国際カンファレンスの場で話題になり、10月初旬にヨーロッパで開催されたカンファレンスでも、ギグワーカーの働き方支援や、積極的にギグワーキングを選ぶミレニアル世代にとっての課題は何かということが議論されました。

ギグ・エコノミーの拡大と影響

「ギグ・エコノミー」とは、組織の正社員として雇用されることなくプロジェクトベースや時間単位などで働く独立した労働者と契約する自由市場制度、隙間時間や場所を問わず選択と契約が可能な働き方市場です。

米国Intuitの調査によると、2020年までにアメリカ人労働者の40%がフリーエージェントとしての独立請負業者になると予測されています。また、オックスフォード大学のインターネット研究所が2017年7月に発表したレポートでは、その時点ですでに過去1年間で26%も拡大したことが報告されていました。

日本でも、ウーバーやWeWorkなども上陸し、新しい働き方の認識は着々と進んできていると言えます。しかし実態は、やっと副業・兼業という働き方が容認される環境になってきたという状況。政府主導ながら「働き方改革」推進のおかげで、テレワークを実施する企業がようやく増えつつある段階です。

しかし、ギグ・エコノミーの労働市場が国内に限定されることのない幅広い人材の選択を可能にしているとすれば、日本国内の法制度や働き方の環境がまだ整っていないことは、むしろグローバルのギグワーカーの活用を推進させることになるかもしれません。

ギグ・エコノミーの拡大は、労働環境の多様化をもたらし、一定期間の契約社員や専門性を持って短期間働くギグワーカー、フルタイム社員が混在で働くことを可能にします。それは、フルタイム雇用者であることに胡坐をかいていられない状況を生み出しているとも言えるでしょう。

ギグ・エコノミーに備えるための「パーソナルブランディング」

同じ副業でも、ウーバーなどのように隙間時間を埋める働き方と、専門性を活かしたコントラクトを得る働き方とでは、アプローチの仕方が違います。

専門領域に特化したプラットフォームに登録する際にも、自分がどのようなキャリアゴールを持っているのか、ソーシャルネットワーク上でどのように認知されたいのか、どのようなパーソナルブランディングを目指しているのかによって選ぶなど、米国では、ギグワーカーが増えるにしたがって「パーソナルブランディング」を指南する研修も盛んになっています。

フルタイムワーカーだからと言って、社内プロモーションは安泰とはならないギグ・エコノミーの時代に備え、パーソナルブランディングは、キャリアマネジメントを考える全ての人に必要なこととして捉えられ始めました。
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文=中原孝子

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