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I cover trends at the crossroads of technology and the music business.

photo by getty images

米国の音楽業界では2018年の上半期、スポティファイやアップルミュージックなどのストリーミングサービスの売上が、全体の75%を占めるまでに成長した。しかし、その一方で、クルマに乗車中にストリーミングを主要な音楽聴取ツールとして用いる人々の比率は12%にとどまっている。

調査企業Edison Researchのデータでは、車内ではラジオで音楽を聞くと回答した人が、56%を占めていた。

しかし、ライドシェアの普及や今後の5Gネットワーク時代の到来を前に、この状況にも変化が訪れようとしている。その一例にあげられるのが、ウーバーやリフトのドライバー向けに、車内の「置き菓子」サービスを提供するスタートアップ企業「Cargo」の、新たな動きだ。

Cargoは先日、2200万ドルのシリーズA資金調達を行ったが、出資元には音楽業界の大物が名を連ねている。EDM業界の重鎮であるスティーヴ・アオキや、デフ・ジャム・レコーディングスCEOのPaul Rosenberg、大物DJを抱えるDeckstar Managementの共同創業者らが同社に出資した。

米国のトップアクセラレータ「Techstars」出身企業であるCargoは、現在1万2000台の車両にサービスを提供しているが、2019年には5万台規模への拡大を計画している。Cargoは音楽業界との取り組みを通じ、現状の置き菓子サービスから、車内向けのパーソナライズされたエンターテイメントを提供する企業に成長しようとしている。

Cargoは既にウーバーやGrabと、複数年の独占契約を結んでいる。

一方で、キャピタルミュージックグループが設立したアクセラレータgBETA Musictechが支援するスタートアップ企業が「Steereo」だ。Steereoはライドシェアのドライバーらに対価を払い、乗客に新興アーティストの楽曲をストリーミングで聴かせる広告モデルの企業だ。同社は既にニューヨークとオースティンで、1万3000名のドライバーと契約を結んでおり、今後は全米各地にサービスを拡大していく。

キャピタルレコードのChing Ching Chenは筆者の取材に次のように述べた。「5Gネットワークの到来を前に、音楽業界にとって車内のコンテンツ消費の重要性は高まっている。我々はこの分野に乗り込む最初の企業になりたい」

調査会社Ovumによると、5Gの普及によりモバイルメディアの売上は今後の10年間で2倍以上に伸び、2018年の年間1700億ドルから2028年には4200億ドル(約48兆円)に達するという。また、自動運転車やオートメーション化が進んだ車両内のコンテンツ消費額は、150億ドルから200億ドルに達するとみられている。

CargoとSteereoの2社は、車内のエンタテインメントの覇権を握るうえで、音楽が重要なツールになると考えている。「今後の5年間で、クルマはもはや現在のクルマではなくなり、車輪の上に乗った娯楽空間になるだろう」とCargoのCEOであるJeff Cripeは述べた。

一方でDeckstar Management共同創業者のLarry Vavra は「ライドシェアの普及につれて、音楽のプロモーションにおいてラジオの重要性は低下する。クルマのなかで人々が聴きたいのは、パーソナライズされた楽曲だ」と述べた。Cargoに出資を行ったVavraは、顧客たちの好みをCargoが学習し、個人の好みに合った楽曲を提供することを望んでいる。

「昔ながらの音楽業界のやり方は、客がレコードを買う気になるまで、とにかくその曲を流し続けることだった。しかし、データとストリーミングを活用すればもっと効率的なビジネスが行える」とVavraは話した。

編集=上田裕資

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