ワイルド・トゥモロー・ファンドが手始めに行った活動は、文字通り「ブーツを地に置く」(put boots on the ground=地上部隊を投入する)ことだった。ドローン(小型無人機)など見栄えのする機器への投資も検討したが、南アフリカの保護区警備隊は給料が少ないばかりか装備も不十分でブーツすら持っていないことを知ると、隊員にブーツを買い与えるための資金を調達した。
ワイルド・トゥモロー・ファンドは現在、野生生物保全に際し次の4本柱からなるアプローチをとっている。
1. 野生生物の保護
16カ所の野生生物保護区に対し、制服や装備品の調達、人員訓練のための資金援助を実施。資金の一部は、サイを密猟から守るために角を切断する活動の支援に充てられている。
2. 保全調査
絶滅の恐れがある種とその生態系の保全に貢献する調査を実施。ゾウだけでなく、ハイエナや、一般にあまり知られていない「スニ」というレイヨウの一種の保護にも取り組んでいる。スニは、希少かつ危機に瀕している地域であるサンドフォレスト(砂地に発達した森林)に生息するチワワほどの大きさの動物で、絶滅が危惧されている。
3. 生息地の保護
絶滅危惧種の生息地となる土地を購入。ハップグッドいわく、「生息地の消滅はおそらく、地球の野生生物の未来にとって最大の脅威だ」という。
4. コミュニティー開発
貧困と密猟の間には関連性があることを踏まえ、野生生物保護をコミュニティー(地域社会)にとって利益となるようにしなければならないというのが、ワイルド・トゥモロー・ファンドの立場だ。
スチュワードはワイルド・トゥモロー・ファンドの将来の目標について、「アフリカの地にさらに大きな影響を与えられるようになりたいと思っています」と語る。
「私たちが支援対象として選ぶ活動は、同地域における保全面での課題に合わせて流動性を保つことになります。当面の間は、資金が不足している保護区の支援を通じた野生生物保全を継続し、農業や人間による開発に脅かされている土地の広範囲を購入・保護していく予定です」