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大企業が「スタートアップ」に抱くイメージは、ここ数年で大きく変わった。ネットバブル全盛の2000年代初頭はインターネットの技術を使って、何かをやっている変わり者集団。どちらかと言えば穿った見方をしていた。しかし、今は全く異なる。大企業はスタートアップは日本の経済成長を支える“新たな希望”として捉え始め、M&Aを行ったり、出資を行ったりといったニュースが、さまざまなメディアで報じられるようになっている。

それに伴って、スタートアップ側の考え方も変化。ひと昔前はIPO(株式公開)を目標に事業を伸ばすスタートアップが多かったが、最近は大企業へのM&Aを視野に入れて事業を運営するスタートアップも増えている。

日経新聞の報道によれば、2018年1~5月における国内の買収件数は前年同期比で3割増加しているという。大企業のアセットを活用しながら、スタートアップが成長を遂げていく──新たなスキームが生まれ始めている。代表的なのはKDDIグループに入り、大規模な予算を使いながらグローバルに事業を展開しているSupershipが挙げられるだろう。

ここ数年で、大企業とスタートアップがお互いの強みを活かし合う関係性になった背景はどこにあるのか。日本におけるスタートアップ・エコシステムの変遷をデロイト トーマツ ベンチャーサポートの斎藤祐馬に聞いた。



ヒト、金の「良い循環」がまわるようになった

大企業がスタートアップと手を組むことが増えてきた背景には、あらゆるレイヤーの変化があります。結論からいえば、人材や資金といったファクターがうまく循環するようになってきたことが原因として挙げられます。まずは日本のスタートアップ・エコシステムの変遷を簡単に整理して説明しましょう。

そもそも、日本でインターネット系のスタートアップが出現したのは1990年代後半頃。楽天創業者の三木谷浩史さんやサイバーエージェント創業者の藤田晋さん、堀江貴文さんなどが活躍し、1999年にはネットエイジの西川潔さんが「ビットバレー構想」を掲げました。

当時はホームページ制作などの受託案件を手がけるスタートアップがほとんど。今の時代に「受託」と言うと、なかなか儲からないイメージがあるかもしれませんが、当時はインターネット領域に明るい人がいなかったので、受託でも儲けることができました。

2000年代前半にはインターネット業界が成熟化。受託ではなく、ECなどのビジネスモデルを持ったスタートアップが増えてきました。中旬以降はグリーやDeNAなどのソーシャルゲームを開発するスタートアップが台頭し始めました。サイト制作だけでなく、Web上で何かしらのサービスを提供するようになったんです。

2008年のリーマンショックを契機に「スタートアップ氷河期」が訪れますが、2010年代から再びスタートアップが盛り上がり始めます。大きな要因となったのはネットとリアル融合です。昨今、あらゆるところで耳にする「〇〇×テック」の流れが、まさにそう。リアルな世界で生じている課題を、ネットの力で解決していく流れが生まれているのです。

その流れが大企業とスタートアップの連携を促進させている要因のひとつでもあります。さまざまな業界の大手企業が、今後のことを考えて、新たな知見を持つスタートアップと関係性を持つ必要が出てきた、というわけです。

文=野口直希 写真=若原瑞昌

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