いじめ検知もAIで それでも忘れてはいけない「人間の役割」

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とはいえ、仮にフライセンスなどが普及することで、「テクノロジーでいじめを根絶できる」とする主張が出てきたとすれば、それはエンジニアやテック原理主義者の理想論や妄想でしかないだろう。

あくまで、いじめや喫煙など規則を破るという行為に対する管理は、人間の社会性、道徳、リーダーシップなどと関連した教育問題として捉える必要があり、学生と教師、学生と学生、学生と親、学生と地域社会など、人間対人間のやりとりで解決されうるべき問題だ。

目標とするのは、「自覚」を促すことである。おそらく、いかに高精度な検知システム(未来的には教育用やコミュニケーションロボット)が介入したとしても、その自覚は生まれないはずで、最終的に向き合うのは人間の役割となるはずである。

それでも、その肝心要の人間の「目が行き届かない」という状況を、テクノロジーは支援してくれるだろう。言い換えれば、いじめの克服を完全に自動化することはできないが、テクノロジーと協業する体制はつくることができるということだ。今後、日本の教育現場においても、人工知能などテクノロジーの有用なユースケースが、国ごと、地域毎、また各学校ごとに登場してくるのを期待したい。

連載 : AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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