ビジネス

2018.11.06

グーグルの大規模スト ピチャイCEOが取るべきだった対応

グーグルCEO サンダー・ピチャイ(Photo by Chesnot/Getty Images)


ピチャイの発言に欠けていたもの

ピチャイの発言は、不明瞭で煮え切らず、責任の所在を明確にするのを避けていた。感情的なパンチがなく、ストライキや、その原因となった記事には到底かなわないものだった。「グーグルが常にうまくやれてきたわけではない」という文は、スト参加者の懸念を軽視するものだ。また「これから具体的な対策がなされる」と言うことで、責任が不明確になっている。

ピチャイが既に具体策を考えていると期待することはできない。しかし、こうした不明瞭な言葉遣いのせいで、誰が対策を取るのかや、従業員は変化が起きることをいつ、どのように知ることができるのかが明確になっていない。ピチャイのような状況に置かれたCEOは、一人称の「私」を常に使い、個人の立場から発言すべきだ。

ピチャイは、ストの前日に従業員に送付したメールで、「私は、社会で長年の間解決されずにいた問題を変えることに全力を注ぐ所存だ。この問題は、グーグルにも存在する」とした。そして「皆さんの中には、当社の方針とプロセスを今後どう改善するかについて、とても建設的な考えを挙げてくれた人がいる。皆さんのフィードバックは全て吸収し、アイデアを行動に変えるつもりだ。近いうちに追加の情報を報告する」と述べた。

ピチャイはここで一人称を用いているが、曖昧(あいまい)な姿勢は変わらない。まず問題が社会全体のものであるとした上で、こうした社会的問題がグーグルにも存在することを消極的に認めている。セクハラや男女間の不平等といった問題が社会に存在することなど、誰でも知っている。ピチャイは、グーグルがたまたま社会的傾向の犠牲者となってしまったにすぎないと示唆することのない言葉を選ぶ必要がある。

シリコンバレーには悪質で搾取的な性文化がまん延しているとされており、ピチャイの目前にはグーグルの生ぬるい返答では対応しきれないような困難な道が待ち受けているだろう。ピチャイは、ソーキンとの対談でグーグルが有害な文化を持つことを否定したが、その真偽をもう少し深く掘り下げて確認した方がよさそうだ。

編集=遠藤宗生

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