ビジネス

2018.11.07 07:00

「僕らは感情にお金を払う」 変わりゆく価値観と消費のカタチ


お金は有限だが、感情は無限



──消費のカタチが変化する中、お金に対する価値観も変わっていくと思います。その点はどう考えていますか?

家入:僕はお金がコミュニケーションツールになると思っています。CAMPFIREが提供するサービス『polca』ではそれが起きつつあるのかなと。

例えば、鳥取県の高校生がプログラミングを学びたくて本を買うために3000円を集めているとします。寄付する人にとって3000円を振り込むのは手続きが面倒だし、値段が高いと感じる人もいるでしょう。でも、3000円のうち、300円を出してくれる大人が10人いてもおかしくない。「誰かを支援する」とかハードルを高くせずに、コミュニケーションの一環として滑らかにお金が回っていけばいいと思うんです。

──“お金を払う”という行為は変わらずとも、お金の意味は変わってくると。片石さんはどう考えていますか?

片石:今の世代は、定性的な感情を重視します。だからこそ、客観的な指標であるお金は重要になっていくと思います。

「yutoriを手伝いたい」と言ってくれた人に無料で仕事をしてもらうことはありません。僕らは、定性的な「バイブス」や「ハッピー」という感情だけでは危ういことも知っています。もしも事業が上手くいかなったとき、自分たちが正しく継続していくための契約料としてお金が機能するのではないかと。

前職にいた会社・アカツキの「感情報酬社会」の考えが僕は好きなんです。お金という資本は有限ですが、感情のリソースは無限。「ありがとう」の感謝を伝えるなど、感情を働きかけあえばお互いをずっとハッピーにし続けられます。

今は皆「エモさ」を求めていますが、これも感情報酬社会の流れだと思います。皆エモいことを求めてエモいコンテンツを見るし、エモい体験をしたがる。仕事は99%つらいけど、皆で味わう1%の感動があるからやる、とかもそう。

客観的なお金、定性的なエモさの両立こそ、これからの時代により欠かせないものになっていくと思います。



いえいり・かずま◎1978年福岡県生まれ。paperboy&co.(現GMOペパボ)創業者。そのほか、「BASE」、「CAMPFIRE」の共同創業、モノづくり集団「Liverty」「リバ邸」などを立ち上げてきた連続起業家。2018年6月、シードラウンド向けベンチャーキャピタル「NOW」を設立。https://ieiri.net/

かたいし・たかのり◎2016年4月株式会社アカツキ入社。新規事業であるLX事業部の立ち上げ従事。コンテンツ制作ユニットのPM、インフルエンサーエジェント立ち上げのPMを担当する。学生時代は、600人規模のワンマンライブを経て解散した TheSnatch!のプロデュースを担当。

構成=田中一成 写真=柴崎まどか

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