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Trello共同創業者兼プロダクト開発責任者 マイケル・ブライアー

テクノロジーを活かせば、働き方を効率化し、新しいビジネスを創出することも可能だ─。新時代の技術を使ったリモートワークを奨励するTrelloが考える「働き方の未来」とは。


米ニューヨーク・マンハッタン島南端部にある金融街。スーツ姿のビジネスパーソンが闊歩する、平日午後の賑わいが感じられる街を抜けてタスク管理ツール開発企業「Trello(トレロ)」へ向かった。

ところが受付で来意と広報担当者の名を告げるや、係が怪訝な顔を見せたのだ。

「取材? ケルシーならオースティンにいるはずだけれど……」

ほどなく共同創業者のマイケル・プライアーが現れ、その理由について語った。社員の30%はオフィス通勤をしているものの、残りの70%は自宅や外出先からリモートワークを実践しているという。

「ケルシーはオースティンにいますよ。彼女の上司はサンフランシスコのはずです。フランス、ブラジルなど世界各国に社員は散らばっていますね。テクノロジーを使えば在宅勤務は可能ですし、そもそも企業文化に深く刻み込まれているのです」

Trelloはプライアーの言葉通り、まさに“企業文化”から生まれたプロダクトと言える。彼は2000年に友人のジョエル・スポルスキーとシリコンバレーではなく、ニューヨークでIT企業フォグクリーク・ソフトウェアを創業した。

「特にアイデアはありませんでした。でも技術者が働きたくなるような会社を作ろう、と。魅力的な企業文化を築けば優秀な人が集まり、そのうち面白いアイデアが出てくるだろうと考えたのです」

同社はイノベーションを奨励し、「クリーク・ウィークス」と呼ばれる、社員が好きなアイデアに1週間取り組めるイベントを開いた。その中から生まれたのが、バグトラッキングツールの「FogBugz(フォグバグズ)」とIT技術者向けQ&Aサイト「Stack Overflow(スタック・オーバーフロー)」、そしてタスク管理ツールの「Trello」だった。 

フォグクリークはその頃には30人以上の社員を抱え、全員の業務内容を把握するのが難しくなっていた。そこでジョエルがトヨタ自動車の「かんばん方式」にヒントを得た「To-Doリスト(やることリスト)」に特化したソフトの開発を提案。それは5枚のカードに、現在取り組んでいる作業を2つ、次に予定している作業を2つ、しばらくは手が付けられない作業1つを書き込み、全員で共有するというものだった。可視化によって互いの仕事内容の“見える化”を図ったのは確かだが、“監視”が目的ではなかった、とプライアーは言う。

「社員の働き方についてどうこう言うつもりはありませんでした。どのように働いているかを自分たち自身で知り、より働きやすくなるようなツールを作りたかったのです」

そして、ある“循環”が生まれた。ツールが便利になるほど、リモートワークが容易になった。その結果、優秀な社員を採用しやすくなり、家庭の事情などによる離職率が下がった。そして、リモートワークする社員が増えるほどツールの重要性が高まり、製品の質も向上したのだ。

文=井関庸介 写真=ランドン・スピアーズ

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