最低賃金引上げは不要 米経済政策トップが断言

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セントルイス連邦準備銀行の経済統計データによれば、1979年7月以降、国内企業の利益の総額が増える一方で、インフレ調整後の実質賃金(中央値)はほとんど変わっていない。企業がどれだけの利益を上げるかは、問題ではない。彼らは多くの従業員と利益を分け合うことを、40年前にやめたのだ。

米政府が昨年中に実施を決めた減税に加え、さらに税率を引き下げればそれで賃金が急に上昇し始めるというのは、歴史を無視した考えだ(政府債務は跳ね上がる)。

賃金は今後、ある程度は増えるだろう。ただし、それはほぼ何の変化もないに等しい。長期にわたる干ばつを生き抜いた人に、ごく少量だけの水をあげるようなものだ。最近の賃金の上昇は、労働市場のひっ迫と人材獲得競争などの結果であり、減税とは無関係だ。

各地域の状況を無視して、国内全体で一律の最低賃金を定めることは、恐らく非現実的だ。この点について、クドローは正しい。だが、最低賃金の引き上げをこれほど多くの人が求めるのは、いまやそれが企業に対策を講じさせる唯一の方法だからだ。

世間や政府からの圧力がなければ、減税によって企業が得た剰余金がその企業と株主の手元を離れることはなく、決して「トリクルダウン」することはない。米社会はこれ以上の継続的な不平等の拡大に耐えながら、安定を維持し、生産性を保つことはできない。

編集=木内涼子

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