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2018.11.05

ミレニアル世代が「倫理的な企業」のみに投資できるアプリ

Thithawat.S / shutterstock

資産運用アプリを運営するサンフランシスコ本拠のスタートアップ「Newday Impact Investing」がターゲットにするのはミリオネアではなく、ミレニアル世代だ。経営幹部の多くは、ブラックロックやStone & Youngbergなど大手資産運用会社出身だ。同社は、社会貢献意識の高い企業に、個人投資家から資金が流れる仕組みを作ることを目指している。

「我々は次世代の個人投資家に倫理的な企業を投資対象として紹介し、それらの企業に資金が行き渡るようにしたいと考えている。社会的責任のある企業を対象にした、完全自動化された資産運用ソリューションを提供するのは我々が初めてだ」とCEOで共同創業者のDoug Heskeは話す。

従来の株式投資と言えば富裕層が主なターゲットで、社会や平和、環境よりも利益を優先するといったイメージが強い。しかし、Newdayは目的意識の強い企業が増えていることを踏まえ、25〜35歳の若い投資家にターゲットを絞り、彼らの価値観に合った企業への投資を推奨しているのだ。Newdayの他にもAspirationやElleVest、Swell、Robinhoodもこの領域に参入している。

統計上、25〜35歳は富を多く保有しておらず、この世代をターゲットにするのは直感に反している。しかし、バーニー・サンダース上院議員のクラウドファンディングキャンペーンの成功を見れば、ミレニアル世代の影響力の大きさがわかる。

Newdayは最近、ミレニアル世代の間で共感を呼んでいる「B-Corp」という、社会貢献を重視する企業に与えられる認証を取得した。現在のところ、Newdayで投資できる銘柄は上場企業のみとなっている。

例えば、「ジェンダーの平等」というポートフォリオに含まれる「NRG Energy」は最近、国連の「女性のエンパワーメント原則」に米国の電力会社として初めて加盟した。また、「動物福祉」というポートフォリオには、獣医師向け器具などを手掛ける「Idexx Laboratories」が含まれている。

「我々は、今後2年以内にSECのレギュレーショAに基づくプライベート投資の機会を提供する予定だ」とHeskeは話す。現状でアプリのユーザー数は1000人程度だが、年内に5000人まで増やしたいという。
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編集=上田裕資

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