イタリアの銘菓を生んだナポレオン? 食の歴史は国の歴史

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ちなみにジャンドゥーヤは、金紙や銀紙を包みに使った初めてのチョコとしても知られていますが、それは、チョコレートにヘーゼルナッツを混ぜると艶がなるから。おいしく見せるため、“艶代わり”として金銀の輝きを利用しているのです。

このジャンドゥーヤ、イタリアのお土産でもらったことがある人も多いと思いますが、ぱっと見はチョコレート、食べると、ちょっとナッツの味がする……と感じるぐらい。それ以上に思いをはせることもないかもしれませんが、実はこうした歴史がる奥深いお菓子なのです。

さて、トリノはイタリア統一後、1861年から1865年まで4年間イタリア王国(サルディーニャ王国から改称)の首都でしたが、このイタリア統一運動を成し遂げた三傑の一人である革命家ガリバルディは、実はニース出身。しかし、その男の出身地が、三傑のひとり、サルディーニャ王国の首相カブールによるフランスのとの密約の結果、フランスに割譲されたというのは無情な話です。

ニースとトリノは、地図ではアルプス山脈(=国境)を挟んでいるだけに見えますが、その奥にあるストーリーに目を向けてみるととても面白く、発見もたくさんあります。

食を通して過去と未来を繋ぐこと、そして食を通してニースと世界を繋ぐこと。僕が普段から意識していることですが、そのためには表面だけでなく、裏や横にあることを読み取ることが必要で、そのきっかけを見つけるのに「食卓」は格好の場ではないかと思います。



そして、これは誰にも共通することです。食べることは明日の栄養になりますが、同時に、その料理がなぜ生まれたか、なぜ美味しいのか、食卓で気づきを得ることが、自分の知識や感覚を磨くことにつながっていきます。

連載:喰い改めよ!!
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文=松嶋啓介

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