フラットな組織における意思決定と評価
──フラットな組織形態では意思決定が難しくなると一般的には言われますが、そのあたりはいかがお考えでしょうか?
今も試行錯誤を続けている最中ではありますが、「思ったより出来るな」という印象です。
たとえば、意思決定を社員40人全員で全てしていては終わらないと思ったので、ボードミーティングという意思決定の会議の場を作りました。会社にとって重要な影響のある意思決定、ないしはメンバーだけでは責任がとれないレベルの意思決定に関する事前の協議は全てボードミーティングで行なっています。一般的にいう取締役会に近いですね。ボードメンバーは私含めて4名ですが、メンバーの選考は私が行なっています。
ただし、そこでの意思決定は確定事項ではなくて、ボードメンバーが決めたことを他のメンバーにも共有しますし、異論があればメンバー全員が意見を言える状況にしています。なので、ボードミーティングの役割としては、政治における議会制民主主義の議会に近いかもしれません。
──もう一つフラットな組織で気になるのが評価方法や評価基準についてですが、こちらはいかがでしょうか?
弊社は上司がいないので、決まった評価者は存在しません。360度評価といって、評価対象者自らが指定した5人による評価方法を実施しています。
評価基準の指標に関しては、会社への貢献度合いを指標化した評価マトリクスを作っています。この指標もどんどん改善されていっていますが、これを決めているのは私ではなく、有志の社員で作られたワーキンググループのメンバーです。ワーキンググループが出してきた要素に対して、ボードメンバー含め全社員が意見を言えるので、「この指標はおかしくないか」となったら、またワーキンググループが持ち帰り議論する仕組みです。
──ワーキンググループのメンバーはどのように選出されているのでしょうか?
ワーキンググループのリーダーだけは、立候補者の中からボードミーティングで決めます。他のメンバーは、リーダーが自由に決めて良いことにしています。立候補者リストをリーダーに渡した後は、そのリストから選んでもいいし、立候補はしていないけれど能力があると思った人を口説いて入れてもいいです。
多様な人材が意欲的に働くためのバランス設計
──評価に対する、報酬の分配についてはいかがお考えでしょうか?
もちろんベーシックインカムという考えも候補としてはありましたが、今一番いいと思っているのは、短期的な成果やパフォーマンスではなく貢献度合いに合わせて報酬を分配する形です。360度評価で出た貢献度をもとにしています。
ここで難しいのが、評価の重み付けです。とある人が、経験もない仕事をしている人の評価をすると、どうしても仕事内容で見えない部分があります。例えば、一年目の子ばかりが評価すると「あの先輩優しいから」と人気投票みたいになってしまう可能性もありますよね。その比重を考慮して、「みんなからの評価の高い人からの評価」が重くなるよう設計しています。