ビジネス

2018.11.01

フェイスブック上陸から10年、私たちの生活はどう変わったのか?

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日本はビジュアルコミュニケーション先進国

──フェイスブックやインスタグラムの利用傾向で、日本ならではのユニークな点はありますか?
 
フェイスブック本社のCPO(最高製品責任者)のクリス・コックスも話していたのですが、日本はモバイル先進国で、ビジュアルコミュニケーションが非常に活発な国です。実際、フェイスブックのモバイルアクセス率は、90%を超えています。

また、日本人のインスタグラムストーリーズの利用は世界トップクラス。日本のデイリーアクティブ利用者の70%がストーリーズを利用しています。ストーリーズは世界でも毎日4億アカウントが利用しており、インスタグラムにおいてよりカジュアルな表現がトレンドになっていますが、日本はその流れが顕著だと言えます。 そのほか、手軽にVR(仮想現実)体験が味わえる「Oculus Go」の利用も活発です。そのためモバイルやビジュアルの新たな機能は、まず日本でテストしそのフィードバックを踏まえて全世界にリリースすることもあります。
 
例えば、フェイスブックの「悲しいね」や「超いいね!」といったリアクション機能は日本発の機能です。日本絵文字文化にインスピレーションを受けて、全世界で導入することにしました。
 
また、友達への安否確認機能ができる「セーフティチェック」も東日本大震災がきっかけです。いまでは世界30億人以上が災害やテロといった有事の際、この機能を活用して連絡を取り合っています。

日本での活用をベースに、世界中で利用されるようになっていったんです。


 
──リアクションの絵文字が日本発というのは驚きました。他に特徴はありますか?
 
もうひとつ、特徴的なのがコミュニティです。フェイスブックの「グループ」機能は現在、世界中で使われていますが、日本は特にコミュニティの活用がユニークで、応援しがいのあるコミュニティがつくられています。
 
例えば、発達障がいをもつ子どもを持つ親御さんのコミュニティ。たくさんの人が活発に議論し、支え合っています。ほかには日本酒をもっと世界で飲んでほしいという思いから作られた「日本酒応援団」はいまでは会社にもなっています。日本中の酒蔵や地域グループを巻き込んで、海外への販売やブランドをつくるといった活動をしているんです。
 
──コミュニティから企業が生まれるのは面白いです。ほかに世界では、どんなコミュニティがあるのでしょうか?
 
世界中で発症率の低い難病をもった方々がつながることで、意見の発信や働きかけなどの大きな活動を可能にするぐらいのスケールになることもあります。また、オーストラリアでは海辺のゴミを拾って綺麗にするコミュニティがあり、大きなムーブメントを生みました。
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写真=小田駿一

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