座って食事をする人が米国で減少 レストランにとっては痛手に

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座って食事ができるあらゆる機会を考えてみよう。朝食、昼食、夕食、コーヒーを飲みながらのおしゃべり、コンサート後のデザートなど、さまざまな選択肢があることを考えれば、こうした食事の機会は増えていると思うかもしれない。しかし新たな調査からは、実際はそうでないことが示されている。

米国人の食事の習慣を調べる米市場調査会社、NDPグループ(NDP Group)の報告書「米国の食事パターン(Eating Patterns in America)」からは、座って食事を取る機会が米国で減っていることが明らかになった。

同社は、座って食事をするあらゆる機会のことを「食事の機会」と定義している。具体的に何を食べるかは考慮しないため、従来型の食事に加え、スナックも含まれる。

同調査によると、米国の消費者が経験するこうした食事の機会は2009年、1人当たり平均1453回だったのに対し、今年は1410回になることが見込まれている。この食事の機会を年間365日で割ると、2018年の1日当たりの食事の機会は、1人3.86回となる。この数字は、2010年時点では1日3.98回だった。

食事の機会の減少は、データ上ではそれほど大きくないように見える。また、食事のパターンは日によって変化することもある。平日は食事をする時間がなくても、週末には出かけるため食事の機会が増えるかもしれない。

しかし、食事の機会の減少は、レストランやカフェなど飲食物を提供する場所にとってはあまり良いことではない。こうした企業は、消費者がより多くの時間を食事に費やすことを望んでいるからだ。

NDPグループの報告書によると、食事の機会が減っている要因の一つは高齢化だ。同社は、人口が緩やかに増加した場合の飲食物の全需要の伸びは年間1%未満になるとし、それだけでは食事の機会の減少を止めるのに十分ではないと話している。

NPDの食品業界顧問を務め、同報告書を執筆したデービッド・ポータラティンは「米国の飲食物消費はおそらく、成熟した市場の最も明確な定義だ」と発表の中で述べた。

この問題は、ファストフードブランドやコーヒー企業が直面している難局をさらに複雑化するだろう。こうした企業は現在、顧客にドライブスルーの使用を促すべきか、それとも中で食事してもらうようにすべきかの難問に直面している。ドライブスルーは、運転者が食事やコーヒー、スナックを受け取るのには楽だが、顧客は迅速なサービスを期待している。それに対し、消費者を店内に誘導すれば、ギフトカードやコーヒーバッグなど追加の製品を買ってもらえる機会が増える。
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翻訳・編集=出田静

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