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田端:個人的には日本の従業員エンゲージメントが低い理由は、スタッフの流動性が低くて会社のことを飽きてしまうからだと思うんです。

でも、ZOZOは社内公募を含めたジョブローテーションが多いんです。社内公募する部署は毎回異なるし、対象は全社員。それによって相性の悪い人がいる部署から脱出できたり、さらにチャレンジングな仕事に取り組んだりといったことができるわけです。エンゲージメントのボトムアップとトップアップが同時にできている点は強みだと思いますね。

 

西巻:嫌なことがあったときに逃げられるコミュニティーがあるって大事ですよね。僕はひとりのスタッフが属するコミュニティーが多ければ多いほどいいと思っているんですね。仕事でうまくいかないときって、大抵人間関係で悩んでいることが多いんですよ。

部署、同期、同郷、さらには部活やファッションの趣味……とにかくいろんなコミュニティーに参加できるように機会を提供することが敷居を下げることが僕の役目だと思っています。

先日もスタッフによるスタッフのためのフリーマーケットをやったんですが、目的はコミュニティーづくりです。企画単体で見たらお遊びみたいに思えるかもしれませんが、僕は継続的にいろんな切り口で行なわれる社内コミュニケーションは軽視できないと思います。

田端:全然違う話ですが、ZOZOってシンプルに仕事を楽しんでいる人が多いと思います。極端な例かもしれませんが、一流ミュージシャンたちがライブでオーディエンス以上に楽しんでいるのと同じ。そういえば、前澤や西巻をはじめバンドマン経験者が多いんですよね(笑)。「仕事=辛いこと」みたいなイメージとは無縁です。

前澤友作というケタ違いの「アクセル役」

──会社として勢いがあり、一体感があるとなると「サークルノリ」と履き違えてしまいそうですが、そのあたりはどう考えていますか?

西巻:僕個人としては「サークルノリ」って悪い表現として使われますが、そこまで悪いことだとは思っていません。もちろん、なあなあになってしまったり、きちんと怒れなくなってしまったりといったデメリットはありますが、それを上回るメリットの方が大きいです。「助け合う」「支え合う」ってなかなかできることではありませんからね。

それに、当然「サークルノリ」じゃないスタッフもいますからね。たとえば上層部でワイワイ盛り上がっているだけだったらとっくに崩壊していると思うんです。上層部レイヤーの近くにブレーキをかけてくれるスタッフがいるから、バランスが取れているんですよね。代表的なブレーキ役が取締役副社長兼CFOの栁澤です。もちろん、彼らもワイワイやっている人たちを潰そうとしているわけではないので。

田端:さらにアクセル役が前澤ですからね(笑)。サークルノリだとしても、サイズ感やスケールが段違いなんですよ。飽くなき野望があるから、サークルノリはサークルノリでも突き抜けている。夢を目指しているので。

──ありがとうございます。最後に前澤社長にひと言お願いできますか?

田端:前澤のすごいところって、耳が痛いような声でもちゃんと聞けるところ。もちろん聞いたうえで無視するかもしれないけど、「うるさい、だまれ、降格」みたいなことはない。前澤は会社を「社会の縮図」だと捉えているんですよね。だから、意見が合う人もいれば合わない人もいる。そして意見が合わない人たちの存在を否定したり、排除したりすることはない。その考え方は素晴らしいと思います。



西巻:僕は一度中国赴任を経験したときの思い出が深いですね。それまでは前澤に文句ばかり言っていたんですけど、いざ中国の社長をやることになったら全然うまくいかなくて。結局事業も失敗して、社長の孤独みたいなものも感じて、猛省して帰国したんです。

ある日前澤の社長車で一緒に移動しているときに、成功できなくて申し訳ない気持ちを伝えると同時に、トップを経験したからこそ企業理念の意味や考課制度のあり方を理解できたという話をしたんです。すると、スマホをいじりながら「やんなきゃわかんないんだよね」と。……ものすごく胸に刺さったんですよね。

赴任前は「中国事業を成功できなかったら辞める」と言いまくっていたんですが、アルバイトあがりの僕にたくさん仕事を任せたのにZOZOを去ってしまったらただの「親不孝者」だ、と。だから、今は自分の経験を会社に還元しなければいけないと思って取り組んでいます。前澤には……やっぱり頭が上がらないですね、イラっとするときもあるけど(笑)。「去れ」と言われるまでは頑張りたいと思います。


西巻拓自(にしまき・たくじ)◎人自本部 本部長/社長室 室長。2005年商品管理担当としてアルバイト入社。 2006年に正社員となり、その後2011年に経営企画室ディレクターに就任。 同年、中国法人の総責任者に就任。帰国後の2014年、社長室室長に就任。 現在は、社長室、人自部、総務部、フレンドシップマネージメント部を統括。

田端信太郎(たばた・しんたろう)◎コミュニケーションデザイン室 室長。1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」の立ち上げや広告営業の責任者を務める。2005年、ライブドアに入社し、livedoorニュースを統括。ライブドア事件後は執行役員メディア事業部長に就任し経営再生をリード。新規メディアとしてBLOGOSなどを立ち上げる。2010年からコンデナスト・デジタルでWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。2012年、NHN Japan(現LINE)執行役員に就任、広告事業部門を統括。2014年、上級執行役員法人ビジネス担当に就任。2018年3月から現職。

文=田中嘉人 写真=帆足宗洋

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