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新聞広告に刻まれた「社員一同」という言葉の意味



──あの新聞広告ができるまでのお話、ぜひ教えてください。

田端:10月1日に社名変更の広告を出そうということになったときに、いろんなアイデアが生まれたんです。よくある前澤が語るパターンやプライベートブランドに寄せたパターン……でも、どれも違うと思ったんですよね。

あくまでも会社は概念に過ぎなくて、社名が変更してもスタッフたちが変わらなければ意味がないな、と。議論を重ねるなかで行き着いたのがスタッフにフォーカスする方法でした。

西巻:ただ、田端は田端で新聞広告の最初のドラフトは良くも悪くもサラリーマンらしさがありましたけどね(笑)。妙に前澤を崇め讃えている感じがあって、僕のように付き合いの長い人間からすると若干気持ち悪かった。

だから僕が「もっと前澤をボロカス言っちゃおうよ」とフィードバックして、やり取りを重ねて少し柔らかいトーンになったという感じでしたね。

田端:「サラリーマンらしい」って言われることはあまりないけど、個人的にも意識しているところです(笑)。

西巻:ツイッターからは見受けられないイメージですよね。ツイッターだけで田端を知っている人は一緒に働くと驚くと思います。でも、田端のおかげで前澤のツイッターも活発になったし、僕もツイッターを始めた。この新聞広告も企画できたので感謝ですよ。たまに休みの日にツイッターを見ていると炎上しているので不安になりますが(笑)。

田端:新聞広告の話に戻しましょう(笑)。これ、実は「クレジットをどうするか」という問題があったんですよ。一般的な社名変更の広告って「ステークホルダーのみなさまへ」から始まり、クレジットは「代表取締役社長 前澤友作」で締める。そんな流れが一般的じゃないですか。でも、そんな「THE 大企業」のやり方はつまらない。

「じゃあ、どうするか」という話になったとき、法人という無色透明な存在ではなく社員一同からのメッセージという設定がいいんじゃないかという結論に至りました。

ただ、この「社員一同」という表記も難しかったんですよね。現場の社員一人ひとりの想いには絶対に温度差があるので。

 

西巻:実際、新聞広告を読んで「おもしろい!」「久しぶりに痺れた!」と連絡をくれたスタッフもいたんですよ。でも、「なんでこんなひどいことを言うの?」と思ったスタッフもいたはずです。「社員一同」という言葉を使うってすごいリスクなんです。

僕らもそういう意見が出ることは考えていたので、10月1日に僕から全社メールを送ったんです。「共感していない人、興味がない人がいるのもわかっている。でも、ここに僕らのメッセージが込められていることを、僕たちの時代になることを理解してくれ」と。

手前味噌ですが、フォローメールがあるかないかでスタッフたちの受け取り方は変わってきたと思います。

田端:ちなみに前澤は広告を見ながら「やるなら10月1日はストライキしたほうがよかったんじゃない?」とか言ってましたね(笑)。

「従業員エンゲージメントが高い=正義」ではない



──あらためて、前澤社長をはじめ役員と管理職、スタッフの信頼関係がものすごく強固な印象を受けます。世間的には「日本企業は従業員エンゲージメントが低い」と言われていますが、ZOZOは無縁といいますか。

西巻:確かに他社と比較したら従業員エンゲージメントは高いかもしれません。ただ、以前と比べたら従業員エンゲージメントは低下していると思います。中途採用でスタッフは増えて、PB(プライベートブランド)の事業は拡大しているけど、ここ2年ほど新卒採用をストップしてしまっているんですよ。要は、企業理念に強烈にコミットしている若手の血を入れていないので。

僕自身はそんなネガティブに捉えていなくて。単純に従業員エンゲージメントを上げたければ新卒採用を再開したり、中途採用の基準を明確にしたり、入社時の研修を設けたりすればいいだけなので。むしろ、程よいところに落ち着いてきたんじゃないですかね。

以前は逆に従業員エンゲージメントが高すぎたんですよ。僕なんかはむしろ気持ち悪いくらいだった(笑)。でも、今は田端みたいな中途組から刺激を受けながら成長できているので、従業員エンゲージメントは下がったとしてもバランスはいいんじゃないかと思います。

文=田中嘉人 写真=帆足宗洋

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