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Azit 吉兼周優

2050年、私たちの生活はどうなっているのだろうか。

そんな疑問から、Forbes JAPAN 12月号では、ビジョナリーなリーダー、学者、アーティストと「未来を見通すメソッド」を探る特集「BEST VISIONARY STORY」を実施。「暮らす」というテーマで京都大学学長の山極壽一氏、「買う」というテーマでメタップスの佐藤航陽氏、「死ぬ」というテーマで大阪大学教授の石黒浩氏など、各分野の有識者に未来予想図を聞いた。

本記事では「2050年の“動く”」をテーマに、モビリティプラットフォーム「CREW」を展開するAzitの吉兼周優氏にインタビューを実施。本誌掲載のロングバージョンでお届けする。

2018年10月4日、ソフトバンクとトヨタが新たなモビリティプラットフォーム構築に向けた戦略的提携を結んだことは記憶に新しい。コネクテッドカーや自動運転技術が実用化された後の未来、人々はどのように「動く」ようになるのか。吉兼氏に尋ねると、「人は、徐々に動かなくなる」と答える。彼が思い描くモビリティの未来、そして「動く」の未来はどうなっているのだろうか。

──吉兼さんはいま謝礼型ライドシェアのサービスを展開していますが、「人は動かなくなる」というのはどういうことでしょうか。

ライドシェアは、私が実現したいことに対するひとつの手段にすぎません。私は常々、「移動は苦痛」なものだと思っています。中学生の頃から満員電車に乗る生活をしてきましたが、移動手段がそれしかないから日々大きなストレスを感じてきた。いまも、通勤電車や車の渋滞などでストレスを感じている人はとても多いはずです。移動で生じる苦痛を無くすことが、私が実現したいことです。

なぜ移動は苦痛なのか。人間の動きには元来「動」と「静」の2つの欲求があります。動きたいときに動き、止まりたいときに止まる。現代の移動だと、例えば満員電車など、個々の欲求と異なる力で強制的に動かされたり、止められたりするためストレスに感じてしまうのです。

現代の移動は集団に依存している。これは、今までの時代では効率性・流動性といった観点から正しかった。電車やバスといった移動手段が生まれた当時は革新的なことでした。しかし、これからの時代は違う。移動の単位が、集団から個に分解されていくでしょう。

──具体的にどう変わっていくのでしょうか。

例えばVRやARがより発達し一般化したら、自宅から出なくとも人と会えるようになります。また、リモートワークがより当たり前のものとなり、わざわざ会社に出向く必要がなくなる。ホログラム装置を使えば、まるで瞬間移動するように移動し会議へ出ることもできるでしょう。

既にウーバーイーツやアマゾンフレッシュ、ZOZOTOWNなど日用品から嗜好品まで自宅で購入でき、さらにはソーシャルゲームやネットフリックスなど自宅で様々なエンターテイメントが楽しめるようになっているので、そもそも人が日常的な移動をしなくなる。つまり「動かなくなる」のです。

ただし、すべての移動が無くなるとは思いません。日常的な、誰かから強いられて行う移動は無くなり、エンターテイメントとしての移動はその価値をより一層高めると思います。例えば好きな車に乗ってドライブをしたり、鉄道の旅をのんびり楽しんだりなど。日常的な移動をしなくなったら、電車に乗ることでさえも、ひとつのレジャーとして楽しく感じるかもしれないですね。



また、メールよりも手書きの手紙の方が想いの強さや情緒を感じるように、テクノロジーが発達すればするほど、バーチャルではない本物と会う、または実際に足を運んで見て感じることの価値も上がっていきます。本来の「動の欲求」に従った、能動的な移動だけが残るのではないでしょうか。

構成=小野瀬わかな 写真=小田駿一

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