ビジネス

2018.11.02

パリで感じたイノベーションの熱とマクロン大統領の本気

Viva Technology 2018


パリ最終日には、ハーバードビジネススクールの同級生の誘いを受け、彼が働く市内のデジタルファクトリーを訪ねた。そこはスタートアップのインキュベーターのような所で、フランスで2番目に大きな銀行グループが運営しているとは思えないほどオープンな雰囲気。シリコンバレーのオフィスの影響はかなり受けてる印象を受けた。

大企業とスタートアップのオープンイノベーションのためにワンフロアを使ったその空間は、まるでパロアルトにあるIDEOがビルの中に入ったようで、やはりデザイン思考を取り入れてディスカッションしてるそうだ。

私の盟友は、法人7万社と300万の個人、300億ユーロを扱うBPCE銀行の中にある投資部門「Natixis」でマーケティング、デジタル、クライアントエクスペリエンスのチーフとして、従業員貯蓄プランを扱っている。聞くと彼も、Viva Techに参加してたとのことだった。

「Viva Techはこの3年で急成長し、イノベーションとデジタル領域において、フランスだけでなく、ヨーロッパ、そして世界にとっても必要な存在となった。Viva Techのおかげで、大企業、投資家、政府がスタートアップを応援するカルチャーが生まれ、世界的にイノベーションエコシステムが年々拡大している」と語ってくれた。



彼がマクロン大統領のことを“スタートアッププレジデント”と呼んでいたのが印象的だった。どうやらマクロン大統領は、Viva Techを相当熱心にサポートし、国を挙げて取り組まれてるという。

フランスには、優秀な科学者、数学者、エンジニアが産業を作り、アーティストが文化を作ってきた歴史がある。自動車、飛行機、映画も全てフランスで発明されたきた。アップルの中にも活躍するフランス系エンジニアは多く、SiriもiPhoneアプリケーションも、実はフランス人が発明した。韓国発のグローバル企業サムソンのイノベーションラボの本社はパリにある。

フランスは、現在、シリコンバレーやイスラエルと良好関係を築き、アフリカとも特にスタートアップ支援を力に入れている。日本もフランスともスタートアップのアライアンスを多く組み、グローバルイノベーション創出を加速させたいものだ。

連載 : イノベーション・エコシステムの内側
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文=森若幸次郎

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