「こんなものは見たことがない。とてつもなく不気味で奇妙だ」とアリゾナ大学の考古学者デヴィッド・ソーレン(David Soren)は語る。
遺骨は10歳の子供のもので、口に石が詰め込まれていた。これは遺体がゾンビのように生き返り、病気を広めることを防ぐためではないかと学者たちは見ている。
遺骨が発見されたのは、5世紀にマラリアが流行した際に命を落とした子供が埋葬されている乳幼児の墓地だ。今回発見された遺骨は同墓地で最年長の子供のものという。
「この子供の年齢と、石が口に挿入されているという状況は、この墓地がいかに特殊な場所であるかを示している」と、スタンフォード大学で研究中のデヴィッド・ピッケル(David Pickel)は言う。
この墓地の発掘では、当時の人々が行った魔術を示す証拠がいくつもある。子供の遺体がカラスの爪やカエルの骨、銅の大釜に入った灰とともに埋葬されていた。また、いけにえとして子犬がともに埋葬されていた例もある。
ある少女は手と足に石が乗せられた状態で埋められていた。これと類似した埋葬方法は、世界の各地でもみられる。
「ローマ人たちは遺体にとりついた悪魔を警戒し、魔術まで用いて追い払おうとしていた」とソーレンは言う。
2009年にも、ペストで亡くなったと見られる女性の遺骨が見つかっており、口にはレンガが詰め込まれていた。