「近い将来、魚は海でなく、陸でとれるようになる」──シリコンバレー発の漁業革命

フィンレス・フーズ共同創業者のブライアン・ワイアワス(左)とマイク・セルデンは、マサチューセッツ大学アマースト校時代からの友人だ。


──どのような形で販売する予定でしょうか?

われわれが現在作っているのは、すり身やネギトロのようなペースト状の商品になります。将来的には、刺身やフィレなど形のしっかりした商品も開発する予定です。

このペースト状の商品を、まずはレストランで展開していきます。レストランだと、お客は気軽に新しい料理にトライしやすいし、ほかの魚とも味を比較できるからです。またプロの料理人となら、おいしい調理法をいろいろ開発できると思います。

われわれはヴィーガンやベジタリアンの人だけを対象にした商品を作るつもりはありません。普通の人にとっての普通の食品にしたいと思っています。

──今後ビジネスを展開していくうえで最大の障害は何でしょうか?

コストです。すでに魚のクリーンミートを開発する技術はあります。実際、われわれは昨年資金集めをして、試食用にプロトタイプの魚肉をたくさん作りました。

でも、まだ値段が非常に高い。昨年9月に最初のプロトタイプを作った時点では、クリーンミート1ポンド(約450グラム)あたり1万9000ドル(約215万円)もかかりました。今はその3分の1の6000ドルほどに下がりましたが、もっとコスト削減の努力を続けなくてはいけません。


昨年9月に開いた関係者向けの試食会では、コイのクリーンミートを使ったフィッシュケーキをふるまった。(提供写真)

──クリーンミートの魚を消費者は受け入れるでしょうか?

われわれのやっていること、そしてクリーンミートの技術についてきちんと知ってもらえさえすれば、消費者に必ず受け入れられると信じています。われわれはバイオテック企業のように見られることが多いですが、あくまで食品会社です。またわれわれ自身は金儲けのためではなく、世界の重要な問題を解決するために、この仕事に取り組んでいるのです。

──2030年ごろ、人々の食卓はどういうふうに変化していると思いますか?

その頃までには、動物ベースの大規模畜産業は大幅に縮小し、都市の中で食肉や魚を生産するようになっているでしょう。肉や魚は、地方にある巨大農場や遠くの海ではなく、バイオリアクター(培養装置)の中で作れるようになるのです。

環境破壊を食い止めて、生き物への虐待をやめる。そして人々は、安全でヘルシーで新鮮な「肉」を毎日楽しめるようになる。そんな未来を1日でも早く実現したいですね。

文・写真 = 増谷康

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