ビジネス

2018.10.30 08:00

新規事業を立ち上げるポイントは「誇りを持てるかどうか」|新居佳英

アトラエ代表取締役 新居佳英

求人メディア『Green』やマッチングアプリ『yenta』など、オリジナリティあるサービスを次々と展開し成長を遂げてきたアトラエ。社員の意志を最大限尊重する組織文化でも知られ、2016年に東証マザーズへ上場、2018年6月に東証一部への市場変更も果たした。同社代表取締役の新居佳英氏に、起業家の素養や、組織文化のつくり方などをドリームインキュベータの下平が聞いた(全6話)

「誇り」を持てる事業しかやらない

──ゼロイチの事業立ち上げフェーズにおいて、重要視されているポイントをお聞かせください。

一番最初に問うているのは、「自分たちが誇りを持ってこの事業を運営したいと思えるかどうか」だけです。

自分の子供でも親でも良いのですが、自分の身内に自慢したり勧めたりできる事業かどうかを自分に問うてみるのです。本当にこれを欲しがっている、もしくは勧める相手がいるかを確かめると言い替えても良いかもしれません。もし、勧めたくないのだとしたら、どれだけ儲かる事業でもやらないようにしています。

誇りが持てない事業を立ち上げても何にもカッコよくないですし、楽しくない。儲かるかもしれないけれど、胸を張って娘に言えないなんてダサいですよね。ですので、私はいたるところで「誇り」という言葉を使うようにしています。

──御社の主要事業といえば成果報酬求人サイト『Green』ですが、このアイデアを最初に出されたのは新居社長だったのでしょうか?

『Green』は私のアイデアです。

寝る時はいつも枕元にノートとペンを置いているのですが、深夜の2時ごろに飛び起きてこのモデルを思いつきました。一気に書いて寝て、朝起きたら字が汚すぎて読めなかった記憶があります。(笑)人材紹介業界において、間に入っている業者を全て中抜きして、求職者と企業を直接マッチングさせるプラットフォームができれば面白いのでは、というアイデアでした。



競合優位を保ち続ける新規事業のつくり方

──新規事業は主に新居さんがご自身で発案されているのでしょうか?

会社の仕組みとしては、私でもアルバイトでも経理でも、確率論的には同じ確率で新規事業を発案できる環境をつくっています。ただし、私は『Green』以前にも100個以上の事業計画書を書いてきた経験があります。新規事業を考えてきた数が人よりも異常に多いので、結果的に私から新規事業案が出る確率は高くなっていますね。

──もちろん「誇りが持てるか」は大前提としてありつつも、ビジネスの競合優位性を維持していくには戦略も必要かと思います。

はい。競合優位性を保つことは非常に難しいことですけれど、我々の特徴の一つは、「オリジナルビジネスしかやらないこと」です。オリジナルビジネスである限り、事業スタート時点ではあまり競合視する事業がありません。一番に市場参入すれば、あとは追い越されなければいい。

最初に市場参入したのに追い越されるパターンというのは、大概が「イノベーションや変化を嫌がる」ことが原因で起こります。要は守りに入ると、追い越されてしまうんです。たとえば『Green』もオリジナルビジネスです。結果的に、日本の求人サイトの多くは『Green』に似ていますが、それは他社が先行する我々を模倣しているからだと考えています。

模倣するだけでは、その組織の中にいる人材の能力はだんだんと落ちていきます。対して、我々のメンバーは誰もやっていないことを日々探求し、変化し続けているので、どんどん能力がついていきます。この差が、また新しいサービスを生みだす時に活きてきます。

まとめると、優位性を保つために重要なことは、一番最初にサービスを立ち上げて、変化・挑戦し続けることだと思います。
次ページ > メンバー全員が持つ「誇り」を届ける

文=下平将人 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事