メンバー全員が持つ「誇り」を広く届けていく
──次に、事業を1から100に広げていく際のマーケティングについてお聞かせください。
一つだけ大切にしているのは、我々は自社のサービスに誇りを持っているので、このサービスで「実現したい価値」とか「届けたい想い」というメッセージを必ず入れるよう徹底しています。見た人・読んだ人が我々のファンになってくれるように意識しているのです。
例えば『Green』では「ちくしょう!転職だ。」という強烈なメッセージのバナー広告を出して、一世を風靡した時期がありました。あれは転職業界からするとコントロバーシャル(議論を醸す)な内容でもあります。なぜならば、転職を嫌なもののように扱っていると感じることも出来るからです。
しかし、我々はそんなことは一切思っていなくて、多少のリスクをとってでも「日本人の人材市場がもっと流動化しないと、この国はダメになる」という想いを届けるためにこのキャッチコピーを使い続けました。面白いバナーがきっかけでも何でもいいから、とにかく人材を流動化させるための仕掛けを仕込まなきゃいけない、という想いをメッセージに込めたのです。
我々がサービスを通してやろうとしていること、実現しようとしているビジョンを理解してもらい、我々のファンになってもらうこと。その意識は徹底していますね。
──営業で気をつけられているポイントはありますか?
これも「サービスに誇りをもつ」ことと関連するのですが、「自分のお客様が、自分の親や子供、親友だったらどうするか?」ということを常に考えるよう徹底しています。
売るべきじゃない時に、売らなくていいものは売らない。もし自分たちのサービスで価値提供できない人がいるのなら、サービスを改良するか、新しいサービスを作るか、他社のサービスを引っ張ってきて紹介する。ちなみに、私も売りたくないものは一切売れないタイプの人間です。弊社の社員の多くが、そういうタイプの人間でしょう。
──逆に事業の撤退基準などはあるのでしょうか?
唯一明確にあるとしたら、それをやっているメンバーの「志」が無くなった時です。
本音で「絶対やるべきだ」と言っている人がいるのだとしたら、なんとか継続します。もちろん戦略や差別化は細かく詰めますが、やっているメンバーの「志」がない事業は進みません。逆に会社にやれと言われて仕方なくやらされているような新規事業はすぐに撤退します。そうではないとベンチャー企業は戦えなくなりますね。
関わるメンバー全員が「誇りを持てる」サービスを作ること。これは新規事業を創り広げていく上での鉄則だと思っています。
連載 : 起業家たちの「頭の中」
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