このプロセスではまず、大企業とテラ・アクセラレータの代表らが協力し、企業の目標を特定する。ロケットスペースで産業アクセラレータのディレクターを務めるシャイナ・シルバは「企業といくつかのイノベーション目標を設定し、その後スタートアップの選定基準を作成する」と述べた。
この診断プロセスの終了後はロケットスペースが仲介人となって、大企業を助けることができ、6カ月のアクセラレータプログラムから何かを得られる小企業や新興ベンチャーを探し出す。
小企業も、特定のビジネス課題への支援を求めている。ミヨコズ・キッチンの場合、成長を加速する方法や、より主流な小売企業への販売数を増やすことが中心的な課題だ。同社はまた、食品サービス分野への参入に関しても支援を求めている。
テラ・アクセラレータにとって、企業のマッチングを行うのはこれが3回目だ。ネスレは前回のプログラムで、今回と別に3つの新興ブランドと協力した。アダムズは「(プログラム終了後も)正式に関係を継続することはないが、連絡自体は続けており、企業の成功や成長を見るのが楽しみ」と述べた。
ネスレとのパートナーシップにより、ミヨコズ・キッチンのファンからは懸念の声も上がった。シナーは先日、フェイスブックに動画を投稿し、その背景にある計画や目的を説明した。
「事実として、食品大手には活気がなく、成長を遂げていない。それは消費者の声を聞いていないから。一方、植物由来食品分野の新興成長企業は、年間20~40%の成長を遂げている」とシナー。彼女は、ミヨコズ・キッチンのような企業が成長する理由は消費者の求めるものを提供していることにあるとした。
「ネスレから声がかかったとき、私たちが受け入れられたことに少し驚いた。『どうして私に電話をくれたんですか?』と聞いてしまった」とシナー。その答えは「あなたの会社から学びたいから」だった。
ミヨコズ・キッチンは、創業時からミッションを原動力としている。シナーは動物権利擁護者で、自身が創設を支援した動物保護の非営利団体、ランチョ・コンパシオン(Rancho Compasión)で毎朝、救出された動物たちの世話をしている。
「食べ物の未来のあり方についてネスレと話す機会が持てることは、当社が前進する上で非常に大きな機会だ」(シナー)
世界人口は、今後20年足らずの間に90億人を超えると予測されている。その中で、食品業界にはイノベーションを起こし、世界の人々に食料を供給する持続可能な方法を見つけるため、ますます大きなプレッシャーがかかっている。ミヨコズ・キッチンはこれに貢献できるが、同社が最大限、素早く成長するためにはあらゆる支援が必要だ、とシナーは語った。
「この時代、企業を成長させるには数百万ドル(約数億円)かかる。私たちには、あまり多くの時間が残されてない」