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2018.10.27 12:30

米フォーブス長者番付を飾った「移民たちの逆転人生」

グーグル共同創業者のセルゲイ・ブリン(Photo by Kelly Sullivan/Getty Images for Breakthrough Prize)

グーグル共同創業者のセルゲイ・ブリン(Photo by Kelly Sullivan/Getty Images for Breakthrough Prize)

フォーブスが10月3日に発表した、米国で最も裕福な400人を選ぶ「フォーブス400」には、43名の米国外で生まれた人々が並び、アメリカにおける移民たちのパワーを見せつけた。

今年のフォーブス400には、ドナルド・トランプが大統領に就任して以降にランク入りした5名の移民が含まれている。トランプは資産31億ドルで今年の259位に入ったが、43名の移民のうち26名がトランプよりも上位に食い込んだ。さらにいうと、トランプよりリッチな移民の数は2016年から10数名以上も増えている。

大統領に就任したトランプはメキシコとの国境に壁をつくり、イスラム圏からの旅行者の入国を禁止し、移民政策の変更を訴えた。米国で最も裕福な移民であるグーグル共同創業者のセルゲイ・ブリンはトランプの政策にはっきりとノーといっている。

ブリンは2017年1月、サンフランシスコ国際空港で開かれたトランプへの抗議集会に参加し、「自分は米国に亡命してきた」と話した。米国で9番目に裕福な人物であるブリンは、1979年に6歳で家族とともにモスクワからやってきた。数学者の両親は祖国の反ユダヤ主義に我慢がならず、ロシアを離れ、難民認定を受けてメリーランド州に居を構えた。

後にスタンフォード大学に進んだブリンは、ラリー・ペイジと出会い、大学をドロップアウトしてグーグルを立ち上げた。

1990年代の初頭から、シリコンバレーは野心あふれる優秀な起業家らが集うハブとなっていた。イーロン・マスクや、イーベイ創業者のピエール・オミダイア、ピーター・ティール、ワッツアップの共同創業者のジャン・コウムらはみな、米国外で生まれた起業家だ。

現在の資産額が196億ドル(約2.2兆円)のジャン・コウムは、ウクライナのキエフに生まれ、16歳のときに母と米国に移住。サンフランシスコのスーパーマーケットで掃除夫として働いた。

彼は2014年にワッツアップを190億ドルでフェイスブックに売却したが、契約書にサインしたのは、生活保護者に与えられるフードスタンプをもらうため、彼が通っていた福祉事務所のデスクだった。
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編集=上田裕資

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