ビジネス

2018.11.02

ベルリン発、AIで農作物の病気を発見するアプリPlantixの実力

courtesy of Peat


グーグルのTensorFlowで機械学習

Peatの現状の売上高は100万ドルに満たないが、同社にとって機械学習の精度を高めることは収益以上に重要だ。同社が目指すのは、小麦やジャガイモからザクロまで、作物の病気の蔓延と、それが食糧生産に及ぼす影響を予測することだ。

PeatのCEOのStreyは、もともと地理学者で土壌科学者だった。彼女は、予測結果を政府や保険会社、農産物供給者などに販売する予定で、特に保険会社と農産物供給者は有望な顧客だという。

「種や植物の防疫を手掛ける企業は、小規模農家に関するデータを持っていない。アフリカやアジアでもインドと同じくサッカー場程度の広さの畑しか持たない小規模農家が多く、彼ら向けのデータベースが存在しない」とStreyは話す。

Streyと夫の2人は、2014年秋にブラジルで土壌研究をしている際に、Peatのビジネスモデルを考案した。ヒントになったのは、ある村の農家の体験談だ。

その農家は、現地で「突然死」の名称で知られる植物の病気についてグーグルで検索したところ、交通事故など作物と無関係の画像しか表示されなかったという。言語が検索する上での障害となっていることに気が付いた2人は、作物の写真を撮ってアップロードするだけで対処法が表示されれば、農家にとって便利だと思ったという。

現在、Peatには25名の社員が勤務している。同社はこれまでに500万ドルを調達しており、2017年12月に実施したシリーズAラウンドはロンドン本拠のIndex Venturesが主導した。

Peatの画像認識ツールは、グーグルの機械学習フレームワーク「TensorFlow」を使っている。「誰にでも同じことができるが、ユーザーから取得したデータを使って生み出す知見こそが、我々が生み出す最もパワフルな価値だ」とStreyは語った。

編集=上田裕資

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