閉じる

PICK UP

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

HEVO

メンズウェア業界を牽引する、今シーズン注目のブランドをそれぞれのブースに取材。その魅力と強みを探った。


今回さまざまなブースを回っていて気づいたことがある。イタリアでは他の国に比べ、かなり大規模な企業になっても、家族経営で会社を切り盛りしているところがいまだに多く見られることだ。

先代から受け継いだ伝統技術や、創業当初からの経営ポリシーを忠実に受け継ぎながら、刻々と変化し続ける時代の流れの中でどのように会社を成長させていけるかというのが、現役世代の一番の悩みであろう。あるアパレル企業の3代目となる若い社長が、こんなことを話してくれた。

「戦後に祖父が立ち上げた会社を、高度成長期に父が拡大させました。誰もが努力すれば確実に成功する時代でしたからね。でもいまは、そうではなくなりました。生産コストを下げるために規模を拡大するだけでいいのか? それが自分の望む会社の姿なのかという疑問に突き当たったとき、私はあえて規模を縮小、時代が求めるよりクオリティの高いモノづくりをする決心をしました。それは決して先代の意思に背くことではなく、必要な選択でした。会社を継ぐ際、私の方針を何も言わず承諾してくれた父を見たとき、父も私と同じ道を通って来たのだと確信しました」

ECが大きな割合を占め、大きな資金がなくてもブランドを始められる時代だからこそ、我々はまず2代目、3代目としてメンズウェア業界を牽引しているブランド「イーヴォ」「タリアトーレ」「ベルウィッチ」の若き経営者たちに話を聞いた。

その他、オリジナリティの高さで知られる100%ハンドメイドのサルトリア「シャマット」や、海外からも注目され始めている日本のブランド「リングヂャケット」、世界のエグゼクティブ層から愛され続けるミラノの老舗バッグブランド「セラピアン」など、ここでは今シーズン注目の6ブランドを紹介しよう。

BERWICH
満を持して立ち上げたパンツ専門ブランド

1975年にイタリアのプーリア州で誕生したパンツ専業メーカーの「イコマン」。その高い技術で、世界中のメゾンブランドのパンツ生産を手がけている。創業から30年が経ち、2代目が立ち上げたのは、自社オリジナルブランドの「ベルウィッチ」。

創業者兼クリエイティブディレクターのマッシモ・ジャンフラーテ氏は、企業を成功に導いた若手実業家としてイタリアの経済新聞に取り上げられたり、ファッション誌にインタビュー記事が掲載されるなど、イタリアのファッション業界において最も注目されている人物の一人である。「グローバル時代だからこそ、100%自社生産にこだわりたい。得意とするパンツ生産に焦点を絞り、新素材の研究開発などに投資して、日々誠実にものづくりと向き合う。その種が実り、収穫の時期がようやく訪れたと思っています」。



HEVO
3代目が挑む「自分が着たい」メンズ服

歴史的にアパレル産業が盛んな街で、現オーナーであるマウロ・ジャンフラーテ氏の祖父が仕立て屋を創業したのがファミリー企業の始まり。その後、イタリアのレディスウェアの輸出が盛んになった時代の流れに乗り、父親と叔父が大量生産体制にシフト。工場も拡大し、海外進出で会社は順調に成長した。

3代目として31歳の若さで会社を継いだマウロは、「当時はメンズウェア改革の時代に突入した頃で、自分が着たいと思うものをつくりたかった。実行には強い決断が必要でしたが」と語る。そうしてレディス服の大量生産事業から、高品質を旨とするメンズアウター専門ブランド「イーヴォ」が誕生した。今シーズンは、一見シャツのような極薄アウターを発表。より軽く、よりファッショナブルにという時代のニーズに応える新素材の開発にも余念がない。


text by Minako Shimada edit by Shigekazu Ohno

あなたにおすすめ

合わせて読みたい