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2018.10.27

カナダの大麻ビジネス、「ノーブランド戦略」が成長を阻害か

Sergei Bachlakov / Shutterstock.com

カリフォルニアなど、大麻が合法化されている米国の州で販売店に行ったことがある人は、先ごろ嗜好(しこう)用大麻の販売を解禁したカナダの小売店で、少し不愉快な経験をしているかもしれない。

小売販売が認められたカナダの州では、消費者は見えない場所に保管されている複数の種類の大麻の花穂の中から(現時点で販売されているのは、ほぼ乾燥させた花穂のみ)、購入するものを選ぶことになっている。米国のように、カラフルな大麻入り食品や、ハイテクの「ベイプペン」、手巻きたばことして販売されているものはない。

製品を入れたノーブランドのパッケージには、停止標識のような赤いマークが付けられ、明るい黄色の背景の枠組みの中に、依存性があることを警告する文章が記載されている。さらに、THC(向精神作用がある成分)とCBD(向精神作用はないが治療効果が期待される成分)の含有量、種名、テルペン(香りの基となる分子)の種類についての情報が記されている。

これらを表示することは、カナダ議会の上下両院の承認を得るために打ち出された妥協案の一つだ。法案を可決させるためには、大麻を可能な限り臨床的に扱うことにする必要があった。カナダ保健省は、利益ではなく衛生安全を重視する観点から、パッケージを規制している。メーカーが子供向けに大麻を販売しないことを保証するのが、主な目的だ。

規則の問題点

子供に販売しないことは非常に重要だが、この規則にはいくつかの問題点がある。痛みや不安の緩和のために初めて大麻を使用しようとする人たちは、製品に関する知識を得るのに苦労することになるだろう。

販売店の「バッドテンダー」(バッドは乾燥大麻の意味)は顧客のニーズを聞き取り、適切な製品を紹介する。だが、さまざまな種類の大麻について理解するのは、難しいことだ。

インディカ種、サティバ種、そしてこれらを掛け合わせたハイブリッド種はそれぞれ、脳に異なる影響を及ぼす。新たに大麻を使用し始める人たちは、自分に必要な効能を持つのがどの種であるかを特定するために、自ら調べ、試してみるしかない。
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編集=木内涼子

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