NASAは南極の氷の厚さや位置などの推移を画像化する「アイスブリッジ作戦(Operation IceBridge)」を実施しており、四角い氷山の写真はそのオペレーション中に撮影された。
氷山としては、実に奇妙な形に思えるが自然にできたものだという。氷山といえば、てっぺんが海から突き出ているイメージがあるが、今回の氷山は「卓状氷山」と呼ばれるものだ。
卓状氷山は側面がほぼ垂直で、上部は台地のように平らだ。これは、卓状の分厚い氷から成る棚氷から分離したもので、きれいに分離した場合、角度が極めて直角に近くなる。
NASAの科学者ケリー・ブラント(Kelly Brunt)がニュースサイト「ライブサイエンス(Live Science)」に語ったところによると、卓状氷山は風や波によって時とともに角が丸くなる傾向があるため、今回の卓状氷山は比較的新しいものだと考えられる。
よくいわれるように、海に浮かぶ氷山のうち海面から出ている部分はほんの10%程度だ。しかし、写真からはこの卓状氷山が完全に浮いた状態なのか、海底に接触しているのかは分からない。
卓状氷山の中には驚くほど巨大なものもある。2000年にロス棚氷から分離した観測史上最大の氷山「B-15」は、縦183マイル(約295キロメートル)横23マイル(約37キロメートル)という巨大さで、ジャマイカよりも大きかった。
NASAはアイスブリッジ作戦を通じ、地球温暖化が南極の氷に与える影響を見極めようとしている。温暖化が進むにつれて棚氷は分離しやすくなり、海を漂いながら融けていく。これはNASAが数十年にわたって記録してきた、海面上昇に関する重要なデータだ。